2:名無しNIPPER[saga]
2017/08/22(火) 23:22:17.91 ID:KAp8fU8U0
理樹(幸いこの一週間は何も予定がなかったので、旅行の準備を整えると次の日にはもう新幹線に乗ることになった。東京に着くまでの間、僕は悶々とした気持ちで過ごした。来ヶ谷さんのことだ)
理樹(彼女とは2年の秋から交際を始めた。学校を卒業するまで、それはとても幸福な時間を過ごしていたが、その後、来ヶ谷さんはピアノの道に進むため、あちらの国に戻って修行することになった。彼女は日本に残って僕と出来るだけ一緒に過ごす事も考えていたが、それでは彼女自身のためにならないと思って僕が断った。そしてそれが決定的な僕らの分かれ道になってしまったのだ)
理樹(僕らは最初遠距離恋愛というものを甘くみていた。お互い生きているのだから気が向けばまた会える。そう考えていたのだ。しかし、所詮は僕もまだ学生の身。何度かあちらに足を運んだり、逆にあっちが日本に帰って来ることもあったが、基本的にはメールや電話でのやりとり。そしてその唯一の繋がりさえ、お互いの予定が重なり合って次第に疎かになっていった。そして今年に入る頃にはもうほとんど連絡は取らず、事実上の自然消滅となってしまった。あんなに好きだったのに何故こうなってしまったのだろう。ただ、お互いの関係がずっと変わらないままなんてあり得ない事だったのかもしれない)
『みなさま、まもなく終点、東京です…』
理樹(リュックサックを背負い、駅の出口に向かうと切符売り場の人ごみの中から大手を振ってぴょんぴょん跳ねている人物がいた)
恭介「おおーい!こっちだ理樹ー!」
37Res/32.04 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20