未央「兄貴、何か隠してるでしょ」未央兄「なんのことだ?」
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12: ◆jduRT8bHyo
2017/08/22(火) 21:00:14.74 ID:Eo53XMUN0
 もしもこの世界がミステリ小説の作中だとしたら、ここからが解答編ということにでもなるのだろうか。
 ……ま、まあ、俺には隠し事なんて一切ないし? だから、ミステリでもなんでもないんだけどな? うん?

「いきなり……何を言ってるんだ、おまえ」
「兄貴が何を隠したのかは、もう見当がついてる。笑ったりしないからさ、もう白状して楽になろうよ。ね?」

 未央の、優しげな言葉。
 すべてを見抜いている、そんな自信があるからこその、余裕があるからこその、優しさ。
 心が、揺れる。

 しかし。

「……だから、いきなり何を言ってるんだっつーの」

 俺にも、引けない理由がある。
 ギリギリまで、戦い抜いてやろうじゃねぇか……!
 そんな、あくまでも抵抗を続ける道を選んだ俺に、未央は呆れたようにため息をついた。

「兄貴、後ろ。壁を見て。さっき、セロハンテープの切れ端がくっついていたあたり」
「な、なに……?」

 振り返り、未央が指摘したベッド脇の壁を確認する。
 まさか、あの切れ端以外にも何か、もっと決定的な痕跡が残っていたとでも……?
 しかし、そこにあるのはただの壁だ。
 部屋全体がそうであるように、ヤニ汚れで薄く黄ばんでいる以外は、変わったところもない。

「確認だけど、そこの壁にはどんなポスターを貼ってたんだっけ?」
「……好きな、バンドの」
「いつから貼ってあったの?」
「……けっこう、前から。正確には覚えてない」

 慎重に、先ほどどう誤魔化したかを思い出しながら、同じように説明する。
 なるほどなるほど、と未央は満足気に、そしてしたり顔で、うんうんと頷いてみせる。
 な、なんだ? なんだっていうんだ?


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