球磨「面倒みた相手には、いつまでも責任があるクマ」
1- 20
279: ◆AyLsgAtuhc[saga]
2017/08/23(水) 01:06:20.29 ID:sdjKegg/0


「艦長だけじゃない、その時一緒に居た水兵たち、あの人達の事は一人一人、今でもしっかりと覚えている。あの日の出来事は、今でも鮮明に覚えている」


以下略 AAS



280: ◆AyLsgAtuhc[saga]
2017/08/23(水) 01:08:57.44 ID:sdjKegg/0


「その日のインド海上の空は、雲一つない快晴で、絶好の訓練日和だった……以前から『敵潜水艦がマラッカ海峡で目撃された』という情報が入っていた為、それに備えるべく、シンガポールのセクター軍港から『駆逐艦・浦波』と出港、対潜戦演習を行っていた……その訓練中、見張員の一人が潜水艦の潜水鏡が一瞬、海に出ていたのを発見した……直ぐにその事を上官である曹長に報告したが、曹長はそれを『見間違え』で済ませてしまった……それが運命の分かれ道だった……その判断を下した曹長も、悔やんでも悔やみきれないだろう……それから40分後、潜水艦から魚雷が発射された……直ぐに戦闘を告げるブザーが艦内に鳴り響き、球磨は取舵一杯で回避を始めたが……間に合わなかった……」


以下略 AAS



281: ◆AyLsgAtuhc[saga]
2017/08/23(水) 01:10:37.86 ID:sdjKegg/0


「右舷艦尾に魚雷が二発命中……今度は、爆発した……後部機械室と艦尾は一瞬にして火の海に包まれた……皆一様に『諦めるな』と叫んで、懸命に消化活動を行っていた……でも予想以上に火の回りは早く、甲板に搭載していた爆雷に誘爆、そして大爆発が起き、杉野艦長は直ぐに『総員退艦』命令を下した……しかし幾ら球磨が祈っても、時間は待ってはくれなかった……命令の直後、球磨は艦尾から沈んで行った……それが、たった12分の出来事だった……あっという間だった……脱出に間に合わず、球磨と運命を共にした水兵も居た……」


以下略 AAS



282: ◆AyLsgAtuhc[saga]
2017/08/23(水) 01:11:34.51 ID:sdjKegg/0


「そして球磨は……沈む直前まで、あの人達が抱いていた想いを……今でもしっかりと覚えている」


以下略 AAS



283: ◆AyLsgAtuhc[saga]
2017/08/23(水) 01:12:36.06 ID:sdjKegg/0


「あの人達は、戦いに負けると分かっていながら必死に訓練をしていた……後援部隊とは言え、あの人達は、必死だった……あの人達は、希望を抱いていた……戦いの先が大敗だとしても、愛すべき親兄弟、愛すべき郷、自分たちにも護るべき世界があると信じて、あの人達は必死に戦っていた」


以下略 AAS



284: ◆AyLsgAtuhc[saga]
2017/08/23(水) 01:14:59.60 ID:sdjKegg/0


「大げさかもしれないけど、自分たちが相手に大打撃を与えれば、きっと相手も嫌になって、戦争を止めてくれる……自分たちにも護れるモノがあるんだ、と……例え自分たちが死んでも、きっと残された者たちが、自分たちの意思を継いでくれる……戦争に負けて退廃した世界を、きっと戦前や戦時中よりも良い世界にしてくれる……そして、自分たちが必死になって祖国を護ろうとして戦った想いがきっと引き継がれると……そんな希望をあの人達は抱いていた」


以下略 AAS



285: ◆AyLsgAtuhc[saga]
2017/08/23(水) 01:16:51.92 ID:sdjKegg/0


「それでもし、生きて終戦を迎えたら、戦死した仲間に花束を手向けよう。遺品や遺骨があれば、包んで故郷の家族の元へ帰してやろう。そして、それが済んだら、祖国の復興に尽くそう、と……あの人達は毎晩、夜遅くまで、将来の期待や展望、希望の想いを抱いて話をしていた」


以下略 AAS



286: ◆AyLsgAtuhc[saga]
2017/08/23(水) 01:17:40.38 ID:sdjKegg/0


「そんな想いを乗せた中、球磨は沈んでいった」


以下略 AAS



287: ◆AyLsgAtuhc[saga]
2017/08/23(水) 01:18:32.13 ID:sdjKegg/0


「その時一緒に運命を共にした138人の魂……その想いは、今でも球磨の魂の中に生き続けている」


以下略 AAS



288: ◆AyLsgAtuhc[saga]
2017/08/23(水) 01:19:44.72 ID:sdjKegg/0


「……」


以下略 AAS



933Res/330.48 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice