【デレマス時代劇】一ノ瀬志希「しあわせの白い粉」
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21:名無しNIPPER[sage]
2017/08/19(土) 08:20:03.05 ID:GVuX5Nn80
それを複数のこどもらが取り囲んで、石を投げたり、棒で叩いたりしている。
「こらっ!!」
早苗が怒声を上げると、こどもらは蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。
残された女が顔をあげて、こちらを見た。
集落で早苗が声をかけた女だった。
衣は擦り切れ、石が当たったのか、
頰と右目が大きく腫れ上がって、膝は擦り剥けて血が出ている。
早苗は、どうしてこんな、と言いかけてやめた。
けれども、相手は答えた。
「下駄をはいて町をあるいていたから…」
女は、鼻緒の切れた下駄を左手に提げていた。
これだけのこと。
たったこれだけのことで、子どもらは彼女を虐げる口実にした。
“下駄は町人の履物であるから、穢多にはもったいない”。
早苗が幼い頃より、藩ではそのような謂れのない差別が広がっていた。
女はそれを知らずに町へやってきて、このような目に遭ったのだろう。
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