「藤原肇がそれを割る日」
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13:名無しNIPPER[saga]
2017/08/17(木) 19:36:43.47 ID:pXJ6Ifkk0
 この時から、私と夕美さんは、二人で一組として認知されていました。


 相性、というものはあるようです。

 明るく元気な夕美さんは、舞台の上ではお客さんの注目の的です。

 私はというと、あまり喋るのは得意ではないので、必要な時以外は夕美さんの隣でぽつんと立っています。

 ただ、たまに夕美さんがはりきりすぎて、話が長くなってしまいそうになると、少し彼女の服の裾を引っ張ってあげます。

 そうすると、

「あぁっ、ごめん肇ちゃんありがとう! ではでは〜……!」

 と言って、無事に予定通り進行していくのです。

 そのやり取りが、どうやらお客さん達には面白かったようです。

 陰と陽、太陽と月――もちろん、私が陰で、夕美さんが陽ですが、その非対称性はきっと良いものでした。


 ただ、普段頑張ってくれている夕美さんに、どうしても甘えてしまっている、という負い目もあります。

 なかなか自分から、夕美さんのように積極的に喋ることが出来ず、このような立場に甘んじてしまい――。

「そんなことないって!」
「えっ?」



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