ore うんち!w
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49:名無しNIPPER[saga]
2017/09/11(月) 02:18:13.64 ID:799lO0li0
駅に着いてから、三等車の切符を買った。

少女も慣れたもので、一言二言で駅員と会話しただけで乗り換えを把握したのだから、たいしたものだと感心した。

念のため、時刻表を二人分調達してから、電車に乗り込んだ。

やれ、この俺の何人かかってもびくともしないような鉄の化け物が動くのだから、世界は不思議だ。

少女に『エレキ』で動くのだと説明を受けて、雷神様でも中に閉じ込めているのだろうかと疑ってしまう。

さて、電車に入ると、手ごろな四人用席を見つけ、二人並んで座った。

向かいには老夫婦が座っているが、いたって静かで気にならない。

もしかすると、腰の痛みに耐えているのしれない。

ここは三等車なので、硬い木製の座席で、腰掛の部分だけシートが敷いてある簡素なつくりだ。数時間も乗れば、腰を痛めること間違いなし。

俺は、腰をむずむずと動かしながら、窓の外をぼんやりと眺める。

定刻になると、がたんと揺れてから、ゆっくり電車が動き始めた。

流れゆく景色も、最初は面白いものだが数十分もすれば飽きてしまった。

それどころかなにやら、上下左右に揺さぶられるせいで、腹の奥が沸きかえってくるし、背中から冷や汗が出てきた。

そんな俺を見かねたのか、少女は本をめくる手をとめて、尋ねてきた。

少女「なにやら体調が優れないようですが…」

俺「すこし、気分が悪いんだ。こう、揺られていると『中身』がせり上がってくるようで」

少女「電車に酔ってしまったのでしょう。景色のより遠くをご覧ください、きっと幾分かましになります」

俺「うん…俺はどうもこの電車と相性が悪いらしい」

雷神様が近くにいるというだけで、緊張してしまうのだ。

すると、前の席に座る爺が、にかっと笑って言った。

爺「よう、若いの。酔い止め薬はいるかい?」

俺「やぁ、それは助かります。頂けますか」

爺は、小袋から米粒のほどの大きさの球を数粒取り出し、手渡してくれた。

それを飲み込むと、なにやら苦い味が舌の上を転がった。

我慢して飲み込むと、先ほどより吐き気が収まった気がする。

俺「ありがとうございます」

爺「へへ。儂も同じさ。何度乗ってもこの揺れは慣れねえ」

爺もいくつか薬を取り出し飲み干すと、いくつも欠けた歯をぐわっとむき出した。

爺「苦くなければいいんだが、こいつしか儂には効かないのさ」

彼は、悔しそうに小袋を懐にしまった。



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