3:名無しNIPPER[sage]
2017/08/16(水) 04:52:12.26 ID:ayaPDYE50
母「問題とは」
村長「相手側の貴族様のことをほとんど分からぬということじゃ。確かに相手は、それなりに名のある貴族様のようだが、こちらの知っていることといえば辞書に載っているような情報だけじゃ。実際、どのような相手かは、顔すらも分からぬ。むしろ、隠しているような印象も受けたが、高貴な相手にまさか失礼もできぬ。じゃから、こっそり様子を伺いにいってほしいのじゃ。無論、このような依頼を誰にでもするわけではない、
お主は母のために村に残り、そして助けてきた。儂はお主を誠実な青年だと、見込んでおるからして、こうして参った次第。やってくれるな?」
俺「――――村長様」
俺は、乾燥してしまった唇をちろりと舐める。
俺「もちろんでございます」
俺(反射的に言ってしまった。どう考えても、自分が惨めになるのに)
どこかで息を呑む音がした。
その方向へ視線を向けると、幼馴染様が目を伏せていて、すこしだけ悲しそうな印象を受けた。俺は、彼女は縁談相手を疑うことを恥じているのだろうと、思った。だから、慰めようとした。
俺「幼馴染様、貴族様はきっと素晴らしいお方です。必ずや、明らかにしましょう」
幼馴染「…」ニコニコ
彼女は、静かに微笑んだ。俺は彼女に気を遣わせることしか、できない。
それは、今の俺と彼女の関係を如実に表していた。
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