2:名無しNIPPER[sage]
2017/08/16(水) 04:51:07.44 ID:ayaPDYE50
家へ入った俺は洗面所で泥を洗い流してから、清潔なタオルで躰を拭く。
村長は、この村において絶対的な主権を持ち、粗相するわけにはいかなかった。
それに、あの子も一緒かもしれない。
数度しか袖を通してない服を引っ張り出して、何度か深呼吸をしてから、居間への障子を開いた。
居間で、腰の曲がった老人と、うちの母と楽しそうに会話する幼馴染の姿があった。
俺「どうも、遅れました」ペコリ
幼馴染「こんにちは。俺さん、お元気そうでなによりです」
俺「こんにちは、幼馴染様、お久しぶりです」ジトッ
俺(あ〜かわいい。なんでこんなに清楚で礼儀正しいんだろ)
幼馴染「…あの、顔になにかついてますか///?」
俺「いや、全然っ」
母「ごめんなさいねえ。この子と来たら、幼馴染様が来るといつもこうなのよ」
幼馴染「…」ニコニコ
俺「ち、違う(嫌われたくないっ!)」
村長「ごほんごほん、そろそろいいかの?」
幼馴染「あ、はい、失礼しました」
俺(助かった)
村長「さて、これからする話は、決して他言せぬように。とても繊細な事柄じゃ」
母「かしこまりました」
俺「はい」
俺(どうやら、田畑仕事のことじゃないみたいだな)
村長「実は、この度ウチの娘ととある貴族様との縁談が持ち上がったのじゃ」
それを聞いた俺は驚愕のあまり、言葉がでなかった。ハンマーで殴られたような衝撃がこめかみを突き抜ける。縁談?縁談ってなんだよ。
もし縁談が決まってしまったら、ずっと背中を追いかけてきた幼馴染は、どこへ行ってしまうんだ。
虚ろな問いを抱いたのは、当然俺だけで、母はすぐに手を叩いて喜んだ。
母「これはこれは、おめでとうございます。流石、村いちばんの器量よしと謳われた、幼馴染様です」
村長「ふむ。これで、この村もようやくお上にお目にかけてもらえるかもしれぬ。
だが、一つ問題があってな」
52Res/39.35 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20