26:名無しNIPPER[saga]
2017/08/24(木) 04:31:34.30 ID:RcLzdRuW0
俺「だけど、それは、こんなことで捨てるべきじゃないでしょう」
幼馴染様「俺さん、正しいことだけでは、世の中は回りません。
清濁を一切呑みこんで、物事を半か丁で決めるときがあるのです」
幼馴染様はそのとき、初めて俺と目があった。
彼女の深い憂いを帯びた瞳が、痛みを訴えかけてくる。
幼馴染様「俺さんが、幼い頃に私にそう言ったのです」
俺は思い出せない。
俺は、頭の出来がそんなによくない。
昔のことは、ぼんやりと覚えていても、なにを言ったまでかは忘れてしまっている。
だけど、幼馴染様が言うのなら、本当に言ってしまったのだ。
考えることを放棄させる、阿片のような許しの言葉を。
幼馴染様「今も昔も、私は、都会が嫌いです。村に住んでいる人たちを奪っていく悪魔のような場所。都会から帰ってきた人は、みんな村を馬鹿にします」
記憶の隅が、つつかれている。何かが、眼を醒まそうとしていた。
頬を紅潮させた彼女が、俺の袖をつかむ。
幼馴染様「でもそれ以上に、村が好きなのです。だから、こんなにも苦しい…!」
思い出した。
寺子屋時代、彼女は、まったく同じことをあの丘の上で言った。
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