10:名無しNIPPER[saga]
2017/08/18(金) 01:07:26.87 ID:bimQsMj20
床屋 『千羽鶴』
女「いらっしゃいませ。って珍しいわね、俺さんがここに来るなんて」
俺「そういう気分のときもあるんだ」キョロキョロ
女「ふふふっ、嬉しいわ。そこに座ってちょうだい」
俺(なんだ空いている席に座ればよかったのか。数年ぶりだから忘れてしまった)
女「さて、どのようにしましょうか」チャキ
俺「…都会風とか、できるか」
女「都会風ね―。俺さんも、都会に興味がわいたのかしら」
俺「そんなところ」
女「分かりました。今回は、イケてる男前に仕上げましょう」
具体的な部分をぼかしながら、注文をつけると、彼女はテキパキと準備を進めた。
霧吹きを頭にかけて、それからリズミカルに鋏が鳴く。
母と比べると、手際の良さが目立った。
俺は暇つぶしも兼ねて、鏡越しに女へ話しかけた。
俺「大したものだ。女さんが寺子屋時代、手先が器用で折り紙名人として名を馳せたことを思いだしたよ」
女「どういたしまして。そのせいか、俺さんと兄によくいじめられたものだわ」
俺「そういえば、女さんの鞄の中に蛙をしこんだこともあったな」
女「ああもうっ、思い出しちゃった。あの時は、本当に驚いたし…怖かった」
俺「一週間経っても機嫌が直らないものだから、君のお兄さんと何里も歩いて、折り紙の本を買いに行ったよ」
女「アレは、もう燃やしてしまったわ。怒りに任せてね」クスクス
俺(ひでえ)
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