5: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/08/14(月) 22:42:38.17 ID:tqMrYpHf0
【二日目】
昨日は失敗してしまったが、あれしきのことで諦めてなるものか。
今日は作戦その二を決行しよう。
作戦その二、『でかすぎる態度と高圧的な口調』。
こういう上司は嫌われるだろうと言うところから着想を得た作戦だ。
今日は打ち合わせや資料の確認などで、何人かのアイドルが俺に部屋に訪ねる予定になっている。それを利用してやるのだ。
アイドルが来るまでに言う言葉をシュミレーションし、覚悟を決めると共に深呼吸二回。演技だと悟らせてはならない。
数分後、二回のノック音の後、ガチャリ、とドアが開く。同時に俺はシミュレーション通り、これまで上司に浴びせられた言葉を思い返し、一言一句違わず言い放つ。
「ノックしろよ〜!三回ノック〜!礼儀だろ〜!!」
罵倒や罵声と違わない言葉をアイドルに言い放つのは心苦しい。嫌だ、心がもう息苦しい。しかし、これもパパラッチやスキャンダルを避けるためのこと。
心を鬼にしろ。アイドルの為だ、いくらでも心を散らかす勢いでやれ。
「30分前には来とけよ〜!これくらい常識だろダメなやつだな〜!それだからお前はごめんなさい時子さん全部嘘ですはい私の本意ではありません演技です本当に申し訳ございません許してください」
しかし、俺は前言撤回をする。部屋に来たのは時子さんだった。
マズい、時子さん一言も喋ってない。さっきからまゆ一つ動かさず鞭の準備してる。
俺は覚悟を決め、時子さんの元へスライディング土下座。時子さんは鞭を一度俺の耳元の床にたたきつけ、音でこれからすることを予告する。
俺は今日以降、作戦その二の決行を断念することにする。
だって、後から来たアイドル達がみんな俺の擦り切れた額の皮膚と、背中側がボロボロに裂けたスーツの心配をしてくれたから。
こんないい娘たちに、あの上司と同じことをしてやろうと思ったのがそもそもの間違いだったのかもしれない。
嫌われるにしても、この作戦だけはやめようと、俺は心に誓った。
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