女「犠牲の都市で人が死ぬ」 男「……仕方のないこと、なんだと思う」
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名無しNIPPER
[saga]
2017/09/15(金) 00:51:32.92 ID:jX7ap57O0
◇
僕はゆっくりを目を開く。いや、目という表現は仮のもので、僕がそう認識しているだけだろう。
目の前に何かが浮いていた。そいつはわけもわからないことを叫び、消えていった。
……僕はため息のようなものをつく。
こんな光景が続いていた。狂った者たちの、叫び声。苦しみぬいて、死を喜ぶ者の呪詛。
ここには何もなかった。ほんとうに、なにもなかった。
考えることはできた。だが、それをするのはひどく苦しい。後悔と、それと結びつく幸せな思い出。
僕は長い夢を見る。そこには彼女がいた。卓也がいた。両親も、なにもかも、大切な人はみんなそこにいた。誰もが苦しまず、完全無欠の世界だった。
でも、これは夢だと知っている。
失われていく感覚がある。
なにかを思い出そうとすると、同時に抜けていく感覚。
魂の消耗。自我の崩壊。
少しづつ削られていく感覚。狂気がすぐそこにあるのを、感じる。
だから何も考えないようにする。思い出さないようにする。
それでも狂気に溺れていく。縋りたくて、思い出を頭に浮かべる。それはその瞬間から、頭から消えていく。
涙のようなものを流した。
悲しくて辛くて。恋しくて懐かしくて。
でも、全部諦めたんだ、と思う。それでよかったんだと、そう思う。
ずっと同じ暗闇を見上げていた。ここにはなにも存在しなかった。
僕はゆっくりと目を閉じる。
そうすれば、彼女の声が聞こえる。
僕にしゃべりかけ、嬉しそうにし、幸せそうな笑顔を浮かべる、彼女が。
『私たちだけの秘密!』
『今日、どんなことがあった?』
『キミは私にとって、大切な人だよ』
そして僕は。
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