女「犠牲の都市で人が死ぬ」 男「……仕方のないこと、なんだと思う」
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168:名無しNIPPER[saga]
2017/09/15(金) 00:50:34.11 ID:jX7ap57O0



 その装置には人を一人、収容するスペースがあった。

「光栄に思え、私自身がこの手で犠牲を執行するなど、初めてのことだ」

 それは僕への思いやりや優しさではない。賢者という敵に反乱するための記念。そういったことへの象徴、自己満足。

「そうですか」
「お前のようなやつを待ち望んできた。魂の質だけあってその精神も、実に好みだ。お前は、実に人間だ」

 王は僕のような奴を嫌いではないと言った。実際そうなのだろう。

「眠るように意識が消える。だがすまないな」

 己の肉体を横たえる。ガラス越しに見える顔。
 機械音がなる。装置が、始動している。
 わきあがる感情があった。それを必死に抑え込む。なんでもないんだと、忘れようとする。

「お前は装置の中で苦しむだろう。とても、長い間」

 なにも見えなくなっていく。意識が混濁を始める。

「こればかりはさすがに同情するぞ」と誰かが言った。



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