女「犠牲の都市で人が死ぬ」 男「……仕方のないこと、なんだと思う」
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108:名無しNIPPER[saga]
2017/08/31(木) 21:58:56.74 ID:iVDTxJdE0

 なにかないか、なにかないかといろんなことを調べて回った。
 卓也は焦る僕を積極的に支え、サポートしてくれた。しかし、あまりにもなにも見つからない。
 裏の支配者について彼に話した。「……ほんとに予想が当たってたのか」と卓也は納得。半信半疑な部分もあるが、ある程度予想していたことからか、飲み込みは早かったようだ。
 こうしてボスと話したことを卓也と共有したが、もちろん最新の注意を払っている。周りには誰もいなかったし、情報は筆談。それもほかのことを調べているとき「つまりこういうことなんじゃないか?」と図を書いて説明するふりをして伝えた。
 裏の支配者、なんていう要素を頼った博打的なこと以外の方法も考えた。しかし、一番の頼みの綱であったレジスタンスが機能しない以上、もう手段はないといっていいだろう。詰み、だ。
 しだいにいらだちが募ってくる。なにをやってもどうにもならない現状、歯がゆさ。もっと力があれば、スーパーマンになって彼女を救えるような、超越的な力があれば。
 そんな思考も無駄で無意味なバカげた思考に他ならない。現実的でないことを考え始めるなど、彼女を救うのを諦めるのと同じだ。
 鏡を見たらクマができていた。寝る時だって、いつもなにかを考えていた。そんな様子を見てか、「少し休んだほうがいいよ」と卓也に言われた。
 思わず、カッとなる。なんでそんなに気楽でいれるんだ。君の姉じゃないか、むしろ君こそが誰よりも頑張るべきじゃないのか?
 そう思ったが、すぐに冷静になり、首を振る。
 後悔がずしりと押しかかってきた。卓也は優しいから気を使ってくれただけだ。むしろ、よく見れば彼だって疲れているのがわかる。張りつめていて、いつ切れてもおかしくないぐらいに、苦しんでるのは予想できる。

「もう少し頑張ろう」と僕は言った。
「うん」と卓也は心配そうに、僕を見ながら言った。


 ◇




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