24:znAUHOH90[sage]
2017/08/15(火) 00:01:15.29 ID:ytW4vJUe0
一瞬だけ、Pさんが怯えるような顔をした。Pさんでも、そんな顔するんだね。
大丈夫だよ、それは。五光が出るって決まってる花札みたいなもんだから。
あんたの育てたシューコちゃんを信用しぃ。
「……周、」
「あ、ちょいまち。」
「えっ」
「五年もいけずされたんやし、口約束じゃ足りないかなー」
と何か言いかけたPさんの顔の前に、しゅび、っと手を出して、指先で少し背の高い唇にちょんと触れる。
「証文ちょーだい? 恋の認め印的な。」
そのまま、あたしの唇を指す。
知ってる? 唇は喋る為じゃなく――――って、Pさんが知らないわけ、無いよね。
「認め印っておまえ……古いぞ。」
「うっさいあほ。ほら! 逃げないから。」
Pさんの顔が赤くなってる。お酒のせい、じゃないよね。
あたしの顔も、きっとあっかいあっかい。真っ赤っか。
シューコは白いから赤くなるとわかりやすい、って、言われたことがある。きっといまも、Pさんには全部お見通し。
いっそ都合が良い、今日のあたしには、隠すことなんてなにもないのだ。
ぽんと押すように、Pさんの背中に手を回すと、あたしの大好きな優しい手が、そっとあたしの頬に触れる。
その日、あたしは世界で一番幸せな女になった。
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