22:znAUHOH90[sage]
2017/08/14(月) 23:57:49.26 ID:Gq/QuK8U0
「Pさんの事が好きだよ。こんなに誰かを好きになることは、きっと二度と無いから。だからっ……」
だーっ、くそう。決壊しちゃった。
Pさんにその気がないなら諦めるから、とか、それでもアイドルは続けたい、とか、当分は好きでいさせてほしい、とか。
言おうとしてたことは結構あったんだけど、本音って難しいね。うまく言葉にならなくて、代わりに嗚咽が漏れてきた。
しゃくりあげそうになった時、体温の高いぬくもりに包まれた。
一瞬わかんなかったけど、Pさんが後ろから抱きしめていてくれていた。
「すまん。その……俺もうまく伝えられるかわからないから、少しの間、こうさせてくれ。」
あたしの肩、こんなに細かったんだな、って思うくらい、Pさんの腕や胸の感触はごつごつしてて。ちょっとだけ力を込めたら、全然動かなくて、びっくりした。
「……正直、俺は生きてきて良かったと思えたことはあまり無かった。帰る場所もねえし……それなりに頑張っても、中々上手くもいかねえし、人にも好かれねえ、何のために頑張るのかも自分でよくわかんねえ。でも……あのボロアパートに帰ってきたとき、周子が『あ、おかえりー』って、コンビニの菓子頬張って待っててくれるあの時の生活は……はじめて生きてて良かったと思ったよ。」
あたしはメイクの崩れた泣き顔をPさんの腕にうずめて、ただその言葉を聞いていた。
あたしが逃げていかないように、捕まえていてくれる大きな腕。ふわりとしたお酒の匂い、優しい声。
「あの一時の為だけに生きてみようと思えたもんさ。周子が幸せになれれば良いと思った。周子にはもっともっと可能性があるから……もっと色んな世界見て、そこから自分の幸せを見つけて欲しいと思ってた。けど、お前はもう何処に出ても恥ずかしくねえ大人の女だもんな。」
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