包みに籠めた気持ち
1- 20
9: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/08/06(日) 23:49:11.80 ID:ao4zzOCX0
 彼がきんぴらごぼうに箸をつける。
 あたしはといえば、とても自分の分のお昼ご飯を食べていられるはずもなくて、横目で彼の様子を盗み見ることくらいしかできない。

 何度か咀嚼して、彼は飲み込んだ。
 だけど、どうしてだか彼は一言も話さない。

 ひょっとして味付けが辛過ぎたのだろうか。内心穏やかでないあたしをよそに彼は今度は煮物を口にした。
 同じように、黙りこくったままでいる。

「あの、なにか」

 言いかけて、口を噤んだ。一度だけこちらを見た彼と目が合った。
 といってなにを言うでもなく、彼の箸は弁当箱の隅に収まった卵焼きを掴む。

 そして一切れ、頬張った。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
19Res/8.99 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice