ある門番たちの日常のようです
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41: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/08/11(金) 22:45:06.66 ID:6HvgTbn4O
高度7000M。翼を持たず、跳躍能力も低く、耐久力も脆弱な人間がこの高みまで到達するということは、考えようによってはとてつもない偉業かも知れない。単体の動物としては割と貧弱な部類に入る人間が技術の革新を経て文字通りの意味で「雲の上の世界」に辿り着く、世間一般で言うところの“豊かな感性”の持ち主なら、人類の叡智の歩みとか科学の進歩の軌跡とかそんなものに気づいて感動の涙を滝のように流したりするのだろう。

残念ながら俺は学も感性も無いので、雲の上にいようが地面にいようが考えることは変わらない。

《Mayday, Mayday, Mayday!!》

《Chariot-51 one hit!!》

《Shit, I'm hit!!》

なにとぞ今日も生きて帰れますように、だ。

《ヨシフル、Chariot-51がこっちに落ちてくるぞ!!》

(,,;゚Д゚)「散開運動、回避しろ!!」

対空砲火の直撃で火達磨になったMV-22Bが、くるくるとオレンジの曲線を描きながら落下する。夜空に逆巻く炎は荒々しくもどこか幻想的で、機体のパイロットたちには悪いが見とれてしまいそうな光景だ。

米軍開発のウィングスーツを滑空するムササビのように広げて時速200KM/hオーバーで急降下中の、俺達を追うような軌道じゃなければの話だが。

(,,;゚Д゚)「火の粉にウィングを焼かれるなよ、Break!!」

無線機に向かって叫びながら、僅かに身を捩り降下軌道と速度を調整する。熱を帯びた巨大な塊がほんの一メートルと離れていない位置を落下していく様がちらりと視界の端に移った。

飛び交う無線の中にどうも聞き覚えのある悲鳴が混じり、通過した塊に人影と思わしきものが張り付いていた気がするが見なかったことにする。

第1、集中を切らせば次にああなるのは俺だ。


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