ある門番たちの日常のようです
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264: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/13(水) 09:48:33.39 ID:/vwn68xm0
その少女───陽炎型2番艦・不知火は、駆逐艦娘であるという点もあって決して背は大きくない。
頭頂部が丁度我が輩の肩口に来る程度。小学校最終学年女子の平均身長より幾らか小さいだろうか、少なくとも150cmは恐らく越えていまい。

体付きについても所謂「第六駆逐隊」や睦月型の大半(並びに軽空母約2隻)ほど極端に幼いわけでもないが、まぁ外見上での年相応といったところ。きっちりと胸元で結ばれたリボンに新品みたいに糊が利いた純白の手袋、若干桃色がかった頭髪は後ろで綺麗に束ねられ、服装にも乱れが小指の先程も見られない。我が輩を引っ張り起こした後は直立不動となった姿勢とそれらを重ね合わせると、さながら文武両道の生真面目な女学生のようだ。

「…………」

(メメФωФ)「………」

「…………」

(メBФωФ)「…………」

………んで、眼力がもの凄い。細められた両眼の奥で煌めく光はよく研がれた日本刀のそれで、見られていると自然と身体の芯が震えてくる。

目を反らしたくても反らす勇気が沸かない。頬に冷や汗を伝わせながら、我が輩は戦場のど真ん中であるにも関わらずたっぷり3秒間動きを完全に停止させてしまった。

この光景を見て我が輩の姿を嘲笑う者もいるかも知れないが、その権利がある人間は冬眠直前で空腹の極みにあるヒグマを前にしても平常心を保てる人間に限定されるとだけ言っておく。

「…………不知火に何か落ち度でも?」

(メメФωФ)「助け起こしていただき誠にありがとうございます」

ヤバい、眼だけで敵を殺せるタイプの奴だコレ。

「それで、准将。不知火達の司令官はあの通りですが、貴方はさほど戦闘能力が高いわけではありません。

“海軍”の兵力不足は十分理解しておりますが、作戦の全体的な指揮官であることを考慮すればやはり准将は前線に出るべきではないかと思いますが」

(メメФωФ)「…………遠回しに足手纏いと言われておるな、これは」

「はい、その通りです」

(メメФωФ)「言い切りおってからに」

艦娘達の直属の上司は各艦隊の提督だが、その更に上位指揮が我が輩にあたる。一応“海軍”内における階級も彼奴より我が輩の方が高い。いわば「上官の上官」にこうも歯に衣着せない物言いができるのは、やはりあのバカの教育の賜物であるな。

無論、別に褒めてはいない。


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