51: ◆y7//w4A.QY[saga]
2017/08/11(金) 03:09:13.45 ID:NTmwm3rX0
キョン「さて、帰るか」ピロリーン
キョン妹「あれれ、また鳴ってる。昨日からキョンくんの携帯さんは大忙しだねー」
キョン「マナーモードにしておいたつもりだったが」
キョン妹「メール? 見なくていいの?」
キョン「ああ。帰ってから見ようかと――」
佐々木「まったく、これだからキミという人間は度し難い。いくら僕の思い通りにいかないにしても、配慮をしてくれたってバチは当たらないと思うんだがね」
キョン妹「……? あっ! もしかして、佐々木お姉ちゃん⁉︎」
キョン「佐々木……――どうして?」
キョン妹「わーいっ! 久しぶりーっ!」タタタッ ポフッ
佐々木「おっと……。久しぶり。妹君も達者なようでなによりだ。それに、素直なところが良い。爪の垢を煎じて飲むべきじゃないかな。――そう思わないかい? キョン」
キョン「どう返答したらいいのやら」
佐々木「モラトリアムにすることは感心しないよ。無駄な時間なんてないんだ。この瞬間でさえね」
キョン「楽しいと思える瞬間、無駄な瞬間、時間は平等に流れているが、価値を無にするかどうかは個人次第だろ。ま、青春は二度と帰ってこんというのは同意だがね」
佐々木「今がある程度、楽しければそれでいい。将来安心できるレールに乗っていればそれでいい。人生は妥協と選択の連続だ。僕はその両方が、ほしい」
キョン「……両方? あいにく、俺はあれもこれも両立してやるような、やる気に満ち満ちた人間じゃない。しっかし、今日はなんでここに?」
佐々木「理由が必要かい?」
キョン「佐々木……?」
佐々木「くつくつ、いや、なに。たまたまさ」
キョン「たまたまって、昨日も。そんなに頻発するのか」
佐々木「細かいことを男子が気にするものではないよ。女はいつだって仮面を被り、演技者で、秘密のある生き物なのだから。内面に踏み入れ、謎という蜜を味わいたいのなら覚悟が必要だ」
キョン「覚悟?」
佐々木「驚いた表情を浮かべているけど、当たり前の話じゃぁないか。キミはなんの覚悟もなしに、秘密を共有できるのかい?」
キョン「程度によるな」
佐々木「ごもっとも。しかしね、僕にとって、なぜここにいるのか。――その秘密を打ち明けるのは勇気のいることなんだ。だから、キミだって、相応の覚悟を持ってほしい」
キョン「……」
佐々木「くつくつ。キョン、少しは成長したようだね。軽はずみに覚悟があると言わないだけ歩を前に進めているようだ」
キョン「驚いてるだけさ。なにせ、佐々木にそんな秘密があるとは予想だにしていなかったからな」
キョン妹「ねーねーっ! これから佐々木のお姉ちゃんは暇っ⁉︎」
佐々木「……? あぁ、用事が終わったから暇だけれど」
キョン妹「それじゃあお家に遊びにおいでよっ!」
佐々木「い、いや。そ、それはやぶさかではないが。キョンの許しがないと……」チラッ
キョン妹「いいよねーっ?」
キョン「ふぅ、かまないが。いいのか? 佐々木」
佐々木「ぼ、僕は大丈夫、だよ」
キョン「まぁ、遅くならない程度なら」
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