キョン「最近、生え際が気になる」
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10: ◆y7//w4A.QY[sage]
2017/08/05(土) 02:16:20.79 ID:vYgOB4Up0
キョン「俺はいつも使っている通学ルートだから不自然はないが。佐々木、お前を見たのは初めてだ。お前は県内一の進学校に通ってるはずだろ」

佐々木「よく覚えていてくれたようだね。その記憶に相違ない。だけど今日に限ってこっちに用事があったんだ。それが僕がここにいる理由」

キョン「そうなのか。じゃあ本当にたまたま――」

佐々木「ああ、だから言ったよ。これはひどい偶然だと。今日が人生の全てが決まる日ではないけれど、僕にとってひどい日には変わりなかったから」

キョン「それはちょっと凹むな」

佐々木「誤解しないで。君に会ったことがひどいと言ってるわけじゃない。これも覚えているかい? キョン、君の通う高校を受験していたのを」

キョン「覚えてるよ。滑り止めだと言っていたか」

佐々木「予測不可能な現実はいつだって起こりうる。その為に僕は北高と今通っている進学校、二つを受験して、どちらにも合格した」

キョン「そうだな」

佐々木「――結果、僕は進学校を選んだ。だけど、北高でもよかったんじゃないかって、僕は常々思うんだ」

キョン「いや、そりゃもったいないだろう」

佐々木「どうして? 北高にだって特進クラスはある。もちろんキャリアを積む上で土台が良いにこしたことはない。だけど、青春という二度と戻らない三年間を僕は不意にしたのかもしれないんだよ」

キョン「俺なら後悔なんてしようがないが、天才の考えることはよくわからんね」

佐々木「重なり合う時間、なにも進路だけが人生じゃないんじゃないかって、僕は思う。もちろん、こっちを選んでよかったと思える時が来る可能性を否定できないけど、僕は今も大事なんだ」

キョン「そうか」

佐々木「あの、もしよかったら、電話番号を交換しないか?」

キョン「ああ、かまわないぞ。むしろ俺からお願いするところだった――」

佐々木「ほ、本当っ⁉︎」

キョン「あ、あぁ」

佐々木「ご、ごほん。取り乱してしまってすまないね。なに、これもまた、ひどい偶然があったものだと驚いてしまった」

キョン「いや、改めて俺からお願いするよ。電話番号を聞いてもかまわないか」ゴソゴソ

佐々木「本当に、本当に、なんで僕は北高を選ばなかったんだろう」ボソ

キョン「佐々木?」

佐々木「いや、な、なんでも! 電話番号だったね! 交換しようか!」ニコニコ


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