映姫「霧の湖で、恋を知る」-SS速報VIP

映姫「霧の湖で、恋を知る」

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13: ◆Uq/hUTiii9pg[sage saga]
2017/07/23(日) 17:51:11.33 ID:RZsCc4M/0
―水無月ノ第四日曜日―

昨日の土曜日は、チルノと大妖精へ、寺子屋で使う道具の一式（鞄や教科書など）を渡しに行った。
上白沢慧音が『自分が渡しに行く』と言っていたのだが、彼女だって忙しい身だし、何よりチルノたちが寺子屋に入るというのは、私が決めたようなものである。
ここは私が行くのが筋というものだ。

以下略 AAS

14: ◆Uq/hUTiii9pg[sage saga]
2017/07/23(日) 17:52:14.58 ID:RZsCc4M/0
「―――ふうん」

この前よりはややマシといった態度で私の話を聞いていた霊夢が、一通り私が話し終えた後に何やら頷いてみせた。
その態度が不躾なものに思えて、若干眉をピクリと動かすも、霊夢はまるで動じた風もない。
ため息をつきたいのを堪えて、私は平静を装いながら、霊夢に尋ねる。

以下略 AAS

15: ◆Uq/hUTiii9pg[sage saga]
2017/07/23(日) 17:53:28.22 ID:RZsCc4M/0
―文月ノ第一日曜日―

七月に入り、いよいよ幻想郷も夏めいた、晴天の日が続いていた。
気温は日を追う毎に上がっていき、日中の日差しもきつくなっている。

以下略 AAS

16: ◆Uq/hUTiii9pg[sage saga]
2017/07/23(日) 17:54:58.11 ID:RZsCc4M/0
「―――あらためて伺いますが、寺子屋はどうですか？二人とも、うまく馴染めていますか？」
「うん、楽しいよ！もう友達もできたし！」
「はい。皆さん良い方ですし、授業もとても面白いです」

かき氷を食べながら、私たちはそんな会話をする。

以下略 AAS

17: ◆Uq/hUTiii9pg[sage saga]
2017/07/23(日) 17:56:47.76 ID:RZsCc4M/0
大妖精と女将さんの説明してくれた所によると、二人は、去年あたりから人里を回り、無償で氷を配給しているらしい。
さすがにチルノは氷精だけあって氷なんていくらでも作れるし、その氷は溶けにくく、特に鮮魚や精肉を扱っているような店では大変に重宝しているということだ。

「ということは、今日私たちが食べたものも」
「うん！あたいの作った氷を使ったやつだよ」

以下略 AAS

18: ◆Uq/hUTiii9pg[sage saga]
2017/07/23(日) 17:58:22.71 ID:RZsCc4M/0
「あのさ、えーき。このことは、私と大ちゃんとえーきだけの秘密だからね。他の妖精たちに言わないでね」
「え？何故ですか？」
「だって、おばちゃんの前でこういうことを言うのも悪いけど、あたいも妖精だから、人をびっくりさせたりするのがすごく楽しいのは知ってるんだ。
でも、あたいがみんなに隠れてこういうことしてるって知ったら、みんな、今みたいに楽しくいたずらできなくなっちゃうでしょ？だから」
「チルノ……」

以下略 AAS

19: ◆Uq/hUTiii9pg[sage saga]
2017/07/23(日) 17:59:15.26 ID:RZsCc4M/0
チルノたちと別れてからしばらく経っても、彼女の温かさは体に残っていた。
氷の妖精で、周囲を冷やす力を持っているのに、抱きつかれれば温かいなんていうのもおかしな話なのだけど。
でも、彼女の温もりを思い出すだけで、心までも暖かくなるような気がする。

（本当に楽しかったですね）

以下略 AAS

20: ◆Uq/hUTiii9pg[sage saga]
2017/07/23(日) 18:00:23.53 ID:RZsCc4M/0
その晩、私は夢を見た。

晴れた日の空のように青いワンピースを着た少女と、朝から幻想郷のそこかしこを飛び回る夢。
少女の顔は何故か見えないが、その声は、どこかで聞き覚えのあるものだった。
彼女は、どこへ行っても、楽しそうに笑い声を上げていた。

以下略 AAS

21: ◆Uq/hUTiii9pg[sage saga]
2017/07/23(日) 18:01:54.91 ID:RZsCc4M/0
―文月ノ第二日曜日―

前日、チルノ率いる妖精たちと大かくれんぼ大会を決行したり（全員見つけるのに五時間を要した）チルノと大妖精から寺子屋での出来事を聞いたりして過ごした私は、今日はお昼までのんびりとした時間を過ごし、それから地霊殿を訪れていた。
半分は、部下としての古明地さとりと仕事についての打ち合わせを行うため。もう半分は、友人としての古明地さとりと親交を深めるためである。
仕事の打ち合わせは毎月行っているが、一人の友人として彼女に会うのは実に久々だ。

以下略 AAS

22: ◆Uq/hUTiii9pg[sage saga]
2017/07/23(日) 18:03:47.95 ID:RZsCc4M/0
「な、何を言うんですか、いきなり」
「隠そうとしたって無駄ですよ、映姫。何しろ私はさとりの妖怪ですから」
「いえ、それは分かっていますが……」

隠そうとしていたつもりもないし、そもそもたしかに私はチルノへ好意を抱いているが、そういう意味でではない。

以下略 AAS

23: ◆Uq/hUTiii9pg[sage saga]
2017/07/23(日) 18:05:47.76 ID:RZsCc4M/0
「『まだいいでしょ？もっといろんな所へ行ってみましょうよ』ですか。意外と、可愛い所があるんですね」
「うああ！？人の心を勝手に読まないでください！」
「失礼。さとりですから」

私が怒りをあらわにしても、たいして反省した様子もなく、さとりはコロコロと笑ってみせる。

以下略 AAS

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