22:名無しNIPPER[saga]
2017/07/21(金) 19:06:30.67 ID:+NyjqKO10
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彼女は店先で簾を下ろしていた。
こつこつという足音に気が付くと、一瞬動きを止め、ふわりと身体をこちらへ向ける。
穂乃果「いらっしゃいませ! ……って、絵里ちゃんだ!」
絵里「久しぶりね、穂乃――」
穂乃果の顔を見て、私は一瞬息を止めた。
やつれた、という言葉だけでは言い表せない何かがあった。
頬がこけているからだろうか、髪を無造作にまとめているからだろうか。
それだけではない。それだけなら、私たちは大なり小なり同じだった。
覚悟はしていた。
穂乃果は誰よりも近くにいた。
私たちでは想像もつかないほどに深い絆で結ばれていた。
彼女たちは、3人で1つだった。
穂乃果「久しぶりだね!」
半透明に固まった糊のような笑みを浮かべて、穂乃果は割烹着を脱いだ。
絵里「ごめんなさい、来るのが遅れて」
穂乃果「私こそ、変なメール送ってごめんね! でも来てくれて嬉しいな」
絵里「……私も会えて嬉しいわ」
穂乃果「あ、ちょっと待っててね! まだ片づけが――」
絵里「穂乃果」
穂乃果「……何、絵里ちゃん」
絵里「やつれたわね」
結局、私はそう言った。
穂乃果「あ、あはは、そうかな。うちに来る人、皆そう言うんだ」
穂乃果「近所のおばさんなんて、ひどいんだよ。会うたび会うたび、食べてるかって」
絵里「心配にもなるわよ、今の貴女を見たら」
穂乃果「心配するだけなら、簡単だもんね」
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