【安価】勇者「姫様が魔王に拉致されたって?」
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224: ◆vfNQkIbfW2[saga]
2017/07/27(木) 15:11:31.90 ID:9jSPFaZyO
拙者の名は底野御前(そこの・おまえ)。剣豪で知られた下野守、底野手前(そこの・てめえ)の跡取り息子。順当に行けば、父上の臣下として下野守の位を継ぐはずでござった。
しかし……。

父親「このバカ息子がッ! なぜ人柱の首を斬り落とすことができんのだ!」

底野「申し訳ございません。人柱が治水のために必要なのは百も承知でございます。然れども、拙者は血を見るのが恐ろしく……」

父親「刀を振れば血が流れることぐらい、年端もいかぬ稚児でも分かっておるわ」

父親「よいか、貴様には負担がある。髪が白く瞳の紅い『鬼子』という身体負担じゃ。風習に従えば、貴様は生まれてすぐ捨てられる運命だったのだぞ」

底野「承知しております。厳しい世を生き抜くために、父上が拙者に剣術の稽古をつけて下さったことも」

父親「恩義を感じているな? では人柱の首を斬れ! 川の神は若い娘の新鮮な血肉を欲しておる」

底野「はい!」チャッ

少女「うぐっ……うえぇん……ひっく……」

底野(無理だ……死を覚悟した武士ならまだしも、歳も五つほどしか違わない娘を斬れるはずがない! 拙者には無理でござる!)

拙者は刀を鞘に収めると、少女の手を引いて一目散に父上のもとから逃げ出したのでござる。父上に叱られるのは怖かった。けれども、転がった少女の生首と流れる血を見る方が何倍も恐ろしかったのでござるよ。



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