175: ◆vfNQkIbfW2[saga]
2017/07/24(月) 20:03:20.95 ID:/klkWS9/O
食堂には長椅子が三つ並んでおり、食事をしている人は誰もいなかった。天井のステンドグラスが月光を浴びて、淡い七色の輝きを帯びる。古い修道院にしては、素敵な演出だ。
修道女「先にお金を頂きます。金貨3枚です」
吟遊詩人「あの〜、銀貨ではダメ?」
修道女「ダメです。昔から、食事代は一律金貨3枚と規則で決まっていますので。ま、金貨3枚に相応する働きを見せれば、話は別ですが」
吟遊詩人「なら、僕の詩を聞いてください。皇子の書き殴った厨二ノートの詩ってタイトルです」ポロン……
いざ酒を飲もう 雷様よ
滅びゆく世界の輝きに 我が魂の輝きに
主の威光に 乾杯をしよう
その昔ぷにぷに君は言った
「俺の金返せ」と
攫われた麗しの姫は囁いた
「誰だお前」と
薔薇園の中央で蒼ざめた月を仰ぎ
今こそ歌わん 皇子の書き殴った厨二ノートの詩
吟遊詩人「……どう?」
修道女「及第点といったところですね」フウ
修道女は溜息をつき、厨房へ消えた。
しばらくして、吟遊詩人の前には焦げて黒くなったパンと暗黒物質と化したスープが置かれた。
修道女「私のお手製です。ゆっくり味わいなさい」
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