6: ◆nIlbTpWdJI[saga]
2017/07/17(月) 21:56:45.10 ID:b3owXeO0o
どれくらい経っただろうか。
気の抜けたまま随分とぼんやりしていたようで、腰かけているコンクリートの桟橋に汗のあとが点から奇妙に歪んだ円形に広がっていた。
竿を上げてみると、何もついていない釣り針が空中で間抜けに揺れていた。エサを取られていたらしい。
ため息をつくことすら忘れオキアミの入った箱に手を伸ばす。
確か、さっきライラさんが餌を付け直していたから彼女の近くにあるはずだ。久しぶりに海から目をそらす。
さて、餌を付け直そうか。
箱を取るときにちらりとライラさんを見ると、麦わら帽子のつばが先ほどより上を向いているようだった。
ライラさんの青い目は黄色い浮きよりも遥か先にある水平線に向いていた。
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