5:sage
2017/07/15(土) 23:24:16.07 ID:i8/Uaq4i0
「…なんかはぐらかされた気が」
「ソンナコトナイヨ。お、いちごのアイスあるぞ!買ってやろうか?」
「む…しょ、しょうがないですね…今回は騙されてあげましょう」
6:sage
2017/07/15(土) 23:25:18.49 ID:i8/Uaq4i0
__________
仕事は順調に終わり、現場を出たのは陽が沈みかけていた頃だった。
7:sage
2017/07/15(土) 23:25:52.07 ID:i8/Uaq4i0
帰路につくのに車を走らせる。
駅前、と言ってもほとんど何もないが、前を通過する。
学生時代よく通った場所だ。
もっと小さい頃は奥の駄菓子屋さんでお菓子を買って食べたっけ…。
そんな懐かしいことばかり考えてしまう。
8:sage
2017/07/15(土) 23:26:31.28 ID:i8/Uaq4i0
「ここ、Pさんの地元なんですよね」
「ん…知ってたのか」
窓の外を眺める自分に、彼女は言った。
9:sage
2017/07/15(土) 23:27:00.59 ID:i8/Uaq4i0
「…プロデューサーって、その、どんな学生だったんですか?」
「学生?学生ねぇ…しょうもないことばっかりしてたけど」
「聞きたいです。どんなことして遊んでたのかとか…」
10:sage
2017/07/15(土) 23:27:27.07 ID:i8/Uaq4i0
ありすは相槌を打ちながら、時折質問しながら耳を傾けていた。
話しているうちに段々興に乗ってきてどんどん話してしまった。
気づいた時には自分の周りの人間関係が大体把握できるくらいには。
「あいつら今何してんだろうな…ほらそこ、そこのラーメン屋。昔キライだった先輩が働いててさ」
11:sage
2017/07/15(土) 23:28:10.84 ID:i8/Uaq4i0
「あ、でも1回だけ行ったっけかな…マネージャーが『P君ラーメン好きなんでしょ、帰りに寄ってこうよ』なんて誘ってくれてさ」
「…へぇ」
「その人も一つ先輩だったんだけど、色々気が合う人で…どした、ありす」
12:sage
2017/07/15(土) 23:28:54.78 ID:i8/Uaq4i0
「…そうですか」
「最後に先輩の卒業式で話した以来だな…」
13:sage
2017/07/15(土) 23:29:22.03 ID:i8/Uaq4i0
「…何でもないです」
「何だよ、気になるじゃないか」
「何でもないです!」
14:sage
2017/07/15(土) 23:29:55.77 ID:i8/Uaq4i0
…代わりに思い出したのは、先輩との最後の別れの時の会話だった。
自分も上京すると、早く都会に行きたいと言った自分に彼女は
『君がこの街のことを思い出す時は、出来れば楽しいことを思い出して』と言った。
…どうやら、先輩の願った通りになったようだ。
15:sage
2017/07/15(土) 23:30:31.41 ID:i8/Uaq4i0
「んー…別に急ぐことは、ないと思うけどな」
「…」
彼女は、自分と一緒だ。この街にいた頃の。
24Res/10.64 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20