5:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 21:54:55.12 ID:55jPn/3I0
「アナタの名前よ。そして、かつて存在した『アイドル』の名前よ」
「それが私の名前ですか?」
私の中に、私の情報はない。
であるならば、私の存在は確かに島村卯月なのだろう。
「ええ。人工知能『島村卯月』。この国の科学技術を集結して造り出した、ヒトではない新しい思考する存在――それが、アナタよ」
人工知能。人格を疑似的に再現できるかの実験プログラム。未だ空のAI。それが私だと女性は言いました。
「アナタは、『島村卯月』の人格を再現することを第一の目的として造られたの」
そう言うと、女性は指を鳴らす。
振動音とともに、部屋の中央からテーブルがせりあがってくる。同時に、天井からは過剰な照明が出現し、一気に部屋の中は明るくなった。
「ちょっと待ってね。今、ロックを解除するから」
テーブルの上のキーボードを叩くと、私の中の情報が更新されていく。
"頭"の中に、少女の姿が浮かぶ。人好きのする温和な瞳。腰まで届く長い髪の毛。私の姿がイメージされていく。
そうです、私は島村卯月です。そう名付けられた、人工知能です。
あれ、でも――なんだか、おかしいような。
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