■■「島村卯月をはじめましょう」
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19:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 22:08:58.48 ID:55jPn/3I0
◇◇◇

「――卯月ちゃん」

 声が聞こえました。慌ててモニターを展開すると、慌てた様子のプロデューサーさんが覗き込んできます。

「よかった、今日は遅かったのね」

「ふえ……」

 時刻を確認――ええ、そんな時間ですか!?
 窓の外を見ると、すっかり明るくなっています。

「ご、ごめんなさい!」

 すぐに着替えて、仮想空間から浮上します。

「お、お待たせしました」

 くっく、とプロデューサーさんは笑っていました。

「いやいや、随分感情豊かになったね、卯月ちゃん」

「そうですか?」

「だって、今、ムッとしてたわ」

 え? そう言われると、プロデューサーさんのデリカシーのない顔を見た時、ちょっとムッとしましたけど。
 ああ、なんでしょう。当たり前みたいに、感情の動きを自然に感じています。
 最初は、人工知能なのにそんな不確かな揺らぎを観測するなんて、おかしいと思っていました。
 でも、今では、そういういい加減な自分の存在の方が自然だと思うくらいです。



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