37:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 22:29:24.43 ID:Z4hqYXQc0
Chapter9 〜事務所〜
それからというものの、事務所の空気がぎこちない。
いや、ぎこちないんじゃない。私がみんなに合わせる顔がなくて、俯いて、会話が出来ないでいる。
でも、野々村さんも、プロデューサーさんも、ちひろさんも、優しいから何も言わないでいてくれる。
その優しさが、痛い。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
悪いのは私、それでもみんな優しくしてくれて、なのに私はその優しささえも受け取れない。
あまりにもワガママで醜い自分、ふと鏡を見ると、目の下に酷いクマが出来ていた。
今日も野々村さんは明るく話しかけてくれる。とってもとっても優しい人。
なのに私は、上っ面の酷い笑顔しか返せない。 アイドルとしてあまりにも最低な自分。
結局、身体もフラついてレッスンどころじゃ無いので。早めに帰らされた。
トレーナーさんも、本当は怒りたそうなのに、怒らない。また、気を使わせている、こんな最低な人間に。
辞めた方が良いんじゃないの?
やっぱり不幸な自分にアイドルなんて出来ないんだよ。
地元に帰ってパッとしない人生を送ろう。
睡眠不足と劣等感は頭の中でノイズを生み出す。
その苦痛に顔をしかめて歩いたせいで、私は周囲の警戒をしていなかった。
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