【モバマス】P「土をかぶったプリンセス」
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34:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 21:14:13.34 ID:+eTeNEs7O

周りには聞こえない方がよかろうと、途中の自販機で飲み物を買って人気のない近くの市民公園に向かった。
ブランコになんて乗ったのは小学生ぶりだ。
キコ、キコ、という鎖の軋む音が、木々の葉が掠れる音と混ざって静かな夜に溶けていく。

相談ってなんだ、とおもむろに尋ねた。
隣で揺れる彼女の肩がびくりと跳ねる。誰かしらにとっていい話じゃないことはわかっていた。

遠慮なんていらない。

「うん……とりま、これ見てちょ?」

促すと、彼女はおずおずとホットパンツのポケットから紙切れを取り出した。

差し出されたそれを受け取る。名刺だった。
上質紙の上にはどこかで見たようなロゴマークと、ゴシック体の文字が並んでいる。
株式会社シンデレラ・プロダクション。
芸能部門。
アイドル課。
プロデューサー……。

正直、もう若くもない。流行には敏感ではなかった。それでもどこかで見たようなと思うロゴに、聞いたことがあるなと思う会社名。おそらく有名なところなんだろう。

これは、と呟いた。

「さっき、もらったんよ。ばっちスーツ着こなしてるアンちゃんに。タチ悪げなナンパ? って思ったんだけど、どうもそうじゃないっぽくてさー……」

スカウト、されたっぽくて。
彼女はそう続けた。

そんなお話の中のようなことがあるのか、と少し驚いた。貶すつもりなど毛頭もないが、お世辞にもアイドルらしいとは言いにくい見た目の彼女を。



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