18:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 20:44:52.09 ID:+eTeNEs7O
通行人が多くなってきたから、重機の使用はそろそろ控えるべきか。交通整理の人員を増やして、ああ、あとは夜勤組に引き継ぎもしなければ。
段取りを組んでいると、作業服姿の男たちが荷物を抱えて数人こちらへ歩いてきた。先頭の年上の同僚が代表して申し訳なさそうに切り出した。
「……んじゃ、親方。悪いが俺らは先に帰らせてもらうぞ。あとは頼むな」
妻子持ちや恋人持ちの面々だ。家族サービスやデートのため、早く帰らせて欲しいと朝から言われていた。
私生活を侵食するほどの無理をさせるわけにもいかないから仕方ない。お疲れ様、と頷いた。
「……なあ親方、俺リア充は破滅すべきだと思うんだよ」
自分と同じく帰れない側の一人が背後で物騒なことを呟いた。あとでアイスでも奢ってやるから。
帰れない側の唯一の救いは、現場の紅一点である彼女もまたこちらサイドの人間だったことだ。
「アタシも行きたかったなー、花火大会」
隣で赤く光る誘導灯を振る彼女に、ぽつと呟かれた。申し訳ない、と何度目かわからない謝罪をした。
「まあしゃーないよね。親方は誰かと行ったりしないん?」
相手がいない。仮にいたとしても他の同僚を残して責任者の自分が帰るわけにもいかないだろう。
まあ、生まれがこの地域だから何度となく見ている光景だ。行けたとしても行っていないかもしれないが、と返した。
「え、それはもったいないっしょー。こーゆーのは行っとかないと!」
58Res/69.04 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20