白菊ほたる「プロデューサーさんは呪われました」
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8: ◆eU2UNg43MI[saga]
2017/07/15(土) 16:50:32.28 ID:eRMrD4p40

「ほんとにあんたがいるとロクなことが起きないわね」

振り向くと、スラリと背の高い少女がこちらをにらんでいた。 ほたると同じく出演予定だったアイドルだ。

「あんたのせいで前の事務所がつぶれたっていうのに、よくもアイドルを続けられるものね。その心根だけは褒めてあげる」

そうだ思い出した。ほたるがいた3つ目の事務所、彼女はそこに所属していたアイドルの一人だったはずだ。そのあと別の事務所に移籍したんだったか。

「あんたと一緒にいれば、オーディションは落ちるわ、収録は中止になるわ、いろいろあったわね。ほんとロクでもない疫病神」

軽蔑と怒りが混じった視線に、ほたるは青ざめて下を向いている。


「あんたのせいで、あんたさえいなければ、今ごろあたしだって……」

「ほたるは別に関係ないだろ」

さすがにこのまま黙って見ているわけにもいかず、口を挟むことにした。

「なに? あなた、あいつのプロデューサー?」

白けた目で俺とほたるをしばらく見ていたが、フンと鼻をならして踵を返した。

「そいつと一緒にいるとロクな目に遭わないわよ。せいぜい後悔しないことね」

もう充分巻き込まれてるよ。心のなかでそう呟きながら去っていく彼女の後姿を眺めた。



そのあと、手洗いから10分近く経って戻ってきたほたるの目元は赤くなっていた。
今まできつい態度をとられるたびに、こうやって人知れず泣いていたのかもしれない。

泣くほど辛いのに、なんでアイドルなんて続けようと思うんだ?
なんで辞めようと思わないんだ?

それを尋ねる気はおきず、気まずい空気のまま駐車場に向かった。



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