白菊ほたる「プロデューサーさんは呪われました」
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35: ◆eU2UNg43MI[saga]
2017/07/15(土) 21:23:08.93 ID:eRMrD4p40

「ほたる」

ほたるの元担当を名乗っていた男性に会ったときのことを思い出す。
ただ経営が傾いていただけなのに、なんの関係もないほたるにひどいことを言ってしまっ
た。自分に何か言う資格はないかもしれないが、あの子のことをよろしくお願いします、と なんども頭を下げていた。


「お前は確かに運が悪いかもしれない。でもな、それはただお前がどうしようもないほど間が悪いだけなんだ。お前は運がないばかりに、そんな場面にばかり出くわしてしまうだけなんだ」


トレーナーさんが風邪をひいたのだって、タイヤがパンクしたのだって、植木鉢が落ちてき たのだって、そんなのはただ、ほたるがそのときにその場に居合わせてしまっただけだ。親父さんがクビになったのだって、一緒に組んだチームが勝てなかったのだって、お前のせいで起こったんじゃない、ただの偶然だ。
証明? そんなのできない、ただのポジティブ思考だ。文句あるか。


「ほたるは疫病神なんかじゃないよ」


少なくとも俺は不幸になんかなってない。
お前が頑張っている姿を見たら、俺も頑張ろうって思えた。楽しいって思えた。
人の言いなりでなんにも生きがいのなかった俺が、社長に逆らってまではじめて自分からなにかをしたいと思うようになった。
お前をプロデュースしたいって思えた。


「お前の担当になれてほんとうによかった」


ほたるに会えて、俺は幸せだった。



「ほたる。アイドルになってくれて、ありがとう」



顔をくしゃくしゃにして胸に飛びこんできたほたるの背中をなでてやる。
この会社のお偉いさん、あと5分でいい。もう少しだけ部屋に入るのを待ってもらえないだろうか。

だって……中学生の女の子と一緒に泣いてるおっさんの姿なんて、誰も見たくないだろう?





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