白菊ほたる「プロデューサーさんは呪われました」
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10: ◆eU2UNg43MI[saga]
2017/07/15(土) 17:03:23.02 ID:eRMrD4p40

「プロデューサーはお仕事はできますけど、おもしろみのない人ですね。まるでマニュアル通りに動くロボットみたいです」

かつて担当していたアイドルにそう言われたことを思い出す。もう就業時間が過ぎたからと彼女のレッスンに付き合ってほしいという話を断ったときだった。
それから仲もギクシャクして、俺は彼女の担当を外れることになった。
上司の命令を守り、社内の空気を乱さず、しっかり仕事をこなせることのなにが悪いのかと今でもそう思う。

ただ、自分でなにかをしたいと思ったこともなく、漫然と過ごしている自分の生き方に、どこか空しくを思っているのも、また事実だった。




「それに私レッスン好きなんです。レッスンしていると、自分もアイドルなんだなって実感できて」

少し浮ついた声で話すほたるを見て、大きくため息をつく。

しょうがない。このまま無視して帰るのもあれだし、どうせトレーナーさんに用があったんだ。

「トレーナーさんが帰って来るまでレッスンに付き合ってやるよ。ほら、もう一度やってみろ」

ほたるは驚いたように大きな目を一層開いたあと、

「……ありがとうございます」

ぺこりとお辞儀をした。


まったく、どうして俺はこんなこと引き受けてしまったのだろうか。


ステップの踏み込みがあまい! ワンテンポずれてる!
ほたるのダンスに逐一注意を飛ばしながら、


「……♪」

楽しそうに踊るほたるは、トップアイドルたちに負けないくらいにとても輝いて見えた。



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