6: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 21:53:14.20 ID:GPsfCuOW0
●
それから一時間ほど風に乗って海を滑り、ウチは浜へと上がっていた。
レイルジャイブもだいぶ出来るようになってきたし、いい感じかな。まあ、倒れたりもしたけれど……ウォータースタートの練習にもなったし。
途中、風がオフショア気味になったので少し心焦ったけど、戻る頃にはまたオンショアになってて一安心だった。
7: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 21:53:48.33 ID:GPsfCuOW0
「いやー、ウィンドサーフィンしてるところ見てたんだけど、キミ上手いねぇ!」
パチパチパチと拍手しながら、近づいてくる男の人がいた。
何だろう、と思ってそちらにちゃんと視線を向けてみたけれど……。
8: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 21:54:19.07 ID:GPsfCuOW0
「途中コケても、すんなりウォータースタートしてたし、かなり上手いよね。もう結構長いの?」
「んー……まぁ、一応」
一応、山口にいたころからやってたから、歴はそれなりに長いことにはなる。
けど、いきなりそんなこと聞いてくるなんて何が……っていうか距離近っ!
9: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 21:55:04.03 ID:GPsfCuOW0
「やっぱそうだよね。いやー、あんま上手いんで驚いたよ」
「あの、そう言ってもらえるのは嬉しいんですけど……何か、」
「あ、ゴメンゴメン。キミが滑ってるところ、ホント綺麗だったからさぁ! 思わず見惚れちゃってさぁ。そんで声かけたんだ」
10: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 21:55:35.32 ID:GPsfCuOW0
「あの、その……ウチ、これから学校なんで! 失礼します!」
「あ、ちょっと――」
何か言いかけてた気もするけれど、それを気にしている余裕はなかった。
11: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 21:56:30.33 ID:GPsfCuOW0
●
「……ってことがあってさぁ。もうビックリしちゃったよ」
一限が始まる前、朝ご飯用に作ってあったおにぎりを、中庭のベンチでほおばりながら、今朝あったことを友達に話していた。
12: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 21:57:39.84 ID:GPsfCuOW0
「へぇー。ていうか、また朝からやりにいってたの?」
「まぁね! 今は少し余裕あるし、出来るうちは行くつもり」
「講義前なのに元気だよねぇ、海」
13: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 21:58:25.74 ID:GPsfCuOW0
「してることはしてるけど、健康のためみたいなものだし……ウィンドサーフィンとは全然違うよ、やっぱり」
「うーん、ウチはそんなに違わないと思うんだけど。ま、好きだからこそ、ってねっ!」
この短大を選んだのだって、学びたいことが学べるのはもちろん、東京近郊最高のゲレンデ、逗子海岸や材木座海岸が近いからなワケだしね。
14: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 21:59:12.07 ID:GPsfCuOW0
「まぁでも、その人が言ってることもわかる気はするかな」
「え?」
「ほら、一度ウィンドサーフィンやってるところ、見せてもらったじゃない?」
15: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 21:59:47.16 ID:GPsfCuOW0
「あの時の海、キレイだったもん。なんていうかさ、溌剌としてて、キラキラしててさ!」
「!?」
「ちょ、海、大丈夫!?」
16: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 22:00:39.75 ID:GPsfCuOW0
とりあえず事なきを得はしたけれど……うーん。
彼女の言葉は、嬉しいと思う反面、納得はいかない。
「輝いてるって……ウチ、そんな柄じゃないと思うけど」
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