58: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/20(木) 23:29:04.05 ID:apvgBKJC0
前言撤回。やっぱお兄さん、印象通りの人だわ。
……まぁ、でも。
こうやって軽口を叩き合えるくらいには、いつの間にか仲良くなっていた。
59: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/20(木) 23:29:32.09 ID:apvgBKJC0
●
それから暫くの間、ウチとお兄さんは他愛もない話に興じながら、お昼ご飯を楽しんだ。
ウィンドサーフィンやサーフィンのこと、他の趣味のこと、友達のこと、普段のこと……その他諸々。
そういえばこんなに話したのは初めてのことだったかもしれないけれど、不思議と会話が途切れることは無かった。
60: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/20(木) 23:30:07.18 ID:apvgBKJC0
「量、結構あった気がするけど早いねぇ、食べるの」
「そうかな? これくらい普通だと思うけど……正直、ちょっと足りないくらいだし」
なんて言って、ゴミを纏めながら笑うお兄さん。
61: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/20(木) 23:30:35.63 ID:apvgBKJC0
ちょっと多かったと思ってたし丁度いいかなと、何の気なしにウチがそう言うと。
お兄さんは、驚いたように眼を丸くしていた。
……あれ? ウチ何か変なこと言った?
「海ちゃん、それ手作りなの?」
62: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/20(木) 23:31:04.63 ID:apvgBKJC0
「ウチの場合は、独り暮らしだしさ。これくらいはやらないとねっ」
結局のところ、独り暮らしの人間にはありがちな理由だったりする。
今は買うだけでも十分済むけど……趣味で結構お金使ってるわけだし、これくらいは節約しないとね。
でも、バイトに入る回数、増やした方がいいかなぁ。
63: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/20(木) 23:31:35.08 ID:apvgBKJC0
そういえば、言ってなかったかもしれない。
大分話すようになったから、なんだか言ったような気になってたなぁ。
「ほー、勉強のために一人で、かぁ。短大っていうのは聞いてたけど、デザインなんだ」
64: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/20(木) 23:32:03.34 ID:apvgBKJC0
お兄さんがわざわざそんなことを断るなんて、珍しい。
一体どんな質問だろう、そう思ったのだけれど。
「いやさ。海ちゃんはなんで、デザインをやろうと思ったのかなって」
65: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/20(木) 23:32:31.83 ID:apvgBKJC0
昔から、ウチは綺麗な服や、バッグや、そういうものを考えて絵にしたり、形にするのが好きだった。
それは、成長してからも変わらなかった。弟達がお下がりで着回す服を、簡単にアレンジしてあげたりなんかしていたっけ。
そしていざ進学先を選ぶ段になって、好きだからこそ勉強したいし、自分の職にしたい。そう思ったのは確かだと思う。
「……そう、好きだった。好きだった、けど」
66: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/20(木) 23:32:58.17 ID:apvgBKJC0
ふっと、記憶の海へと身を沈める。
いったい、この『好き』という気持ちの原点はどこにあるんだろう。それを、自分でも探ってみたくなったから。
深いところへ、もっと深いところへ……ウチ自身の中に潜っていくようにしながら、自分の記憶を探る。
「……あ」
67: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/20(木) 23:33:32.93 ID:apvgBKJC0
「……ウチはさ。長女なんだけど、下に弟が沢山いてさ。いっつも面倒見てたんだよね」
「うん」
上手く言葉にできるかどうかは、自信が無い。
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