22: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 22:03:42.44 ID:GPsfCuOW0
「あの時の、いきなり声掛けてきたチャラい人」
ウチの言葉に、その男はガックっと、思いっきり脱力する。
よし、一矢報いた! 心の中でガッツポーズ。
……って、なんでウチは、こんなことしてるんだろ。
23: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 22:04:11.25 ID:GPsfCuOW0
●
「いやー、あの時はホントごめんね。急に声かけちゃってさ」
「いえ、もう気にしないでください。ちょっとびっくりしましたけど」
24: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 22:06:05.07 ID:GPsfCuOW0
「お兄さん、サーファーだったんですね」
「そ。ほら、あそこの艇庫、ウィンドサーフィンとSUPだけじゃなくて、サーフボードも保管してくれるから」
「ああ、そういえば」
ウチはいつも立ち入らないから忘れかけてたけど、そういえばボードも保管してたっけ。
25: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 22:07:01.77 ID:GPsfCuOW0
なんか気になって何度も思い出してしまったからです。
なんて、さすがにいえるわけもなかった。
「ほら、あの時、朝からオンショアだったじゃん? それで早々に切り上げて、知り合いと駄弁ってたんだよね」
26: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 22:07:31.75 ID:GPsfCuOW0
「んでさ、駄弁りながら海を見てたら、最高、なんて叫びながら風に乗ってるキミがいてさ」
「え゛っ」
「ん?」
27: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 22:08:13.03 ID:GPsfCuOW0
「まぁ、それで気を惹かれて見てたらさ、なんだかキラキラ輝いててさ」
「ちょ」
この人は、まだウチに追いうちをかけるつもりだろうか。
28: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 22:09:09.89 ID:GPsfCuOW0
「うーん、ホントの事なんだけどなぁ」
「いやもう、それはわかりましたから……」
こういう話は、ホントに慣れない。
29: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 22:09:51.98 ID:GPsfCuOW0
「ま、そんなワケでキミの事が気になってね。そういえば、ウィンドサーフィンは長いんだっけ?」
「はい。子どもの頃、父さんに教えてもらって以来だから……うーん、7、8年になるかな」
「でも、結構お金かかる趣味じゃない? ウィンドサーフィン。よく続けてるねぇ」
30: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 22:10:18.46 ID:GPsfCuOW0
けど――それでも。
「好き……だから」
「ん?」
31: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 22:11:32.33 ID:GPsfCuOW0
「……ふぅん。なるほど。そっか、そういうところなのかな、うん」
「ん? お兄さん、何か言った?」
「いやいや、なんでもないよ。それよりどうする? 風向き、変わってきたけど」
32: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 22:12:01.67 ID:GPsfCuOW0
「ウチは行こうと思うけど、お兄さんはどうする?」
「こっちも行くかなー。これくらいならまぁ、許容範囲でしょ」
「よし、それじゃあ……って、あ」
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