19: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 22:02:23.16 ID:GPsfCuOW0
軽く手を振り合って、それぞれの教室へと向かう。
んー、今日の数学はどこやるって言ってたっけ。あんまり難しいとこじゃないといいんだけど……。
なんて、そんな事を思いながら、ふと脳裏に響いた気がしたのは、あの男の人の言葉。
『キミが滑ってるところ、ホント綺麗だったからさぁ!』
20: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 22:02:49.03 ID:GPsfCuOW0
●
それから、数日後の休日。
ウチは、ウィンドサーフィンをやろうと思い立って、いつものゲレンデに来ていた。
今日は晴れてるし、風もそこそこ出てるし、絶好のウィンドサーフィン日和。
21: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 22:03:15.79 ID:GPsfCuOW0
「お、キミ、やっぱりここの艇庫だったんだ」
そんな声を掛けられて振り返ってみれば。
「……あ。あの時の」
22: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 22:03:42.44 ID:GPsfCuOW0
「あの時の、いきなり声掛けてきたチャラい人」
ウチの言葉に、その男はガックっと、思いっきり脱力する。
よし、一矢報いた! 心の中でガッツポーズ。
……って、なんでウチは、こんなことしてるんだろ。
23: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 22:04:11.25 ID:GPsfCuOW0
●
「いやー、あの時はホントごめんね。急に声かけちゃってさ」
「いえ、もう気にしないでください。ちょっとびっくりしましたけど」
24: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 22:06:05.07 ID:GPsfCuOW0
「お兄さん、サーファーだったんですね」
「そ。ほら、あそこの艇庫、ウィンドサーフィンとSUPだけじゃなくて、サーフボードも保管してくれるから」
「ああ、そういえば」
ウチはいつも立ち入らないから忘れかけてたけど、そういえばボードも保管してたっけ。
25: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 22:07:01.77 ID:GPsfCuOW0
なんか気になって何度も思い出してしまったからです。
なんて、さすがにいえるわけもなかった。
「ほら、あの時、朝からオンショアだったじゃん? それで早々に切り上げて、知り合いと駄弁ってたんだよね」
26: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 22:07:31.75 ID:GPsfCuOW0
「んでさ、駄弁りながら海を見てたら、最高、なんて叫びながら風に乗ってるキミがいてさ」
「え゛っ」
「ん?」
27: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 22:08:13.03 ID:GPsfCuOW0
「まぁ、それで気を惹かれて見てたらさ、なんだかキラキラ輝いててさ」
「ちょ」
この人は、まだウチに追いうちをかけるつもりだろうか。
28: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 22:09:09.89 ID:GPsfCuOW0
「うーん、ホントの事なんだけどなぁ」
「いやもう、それはわかりましたから……」
こういう話は、ホントに慣れない。
29: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/07/14(金) 22:09:51.98 ID:GPsfCuOW0
「ま、そんなワケでキミの事が気になってね。そういえば、ウィンドサーフィンは長いんだっけ?」
「はい。子どもの頃、父さんに教えてもらって以来だから……うーん、7、8年になるかな」
「でも、結構お金かかる趣味じゃない? ウィンドサーフィン。よく続けてるねぇ」
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