輿水幸子「手紙」
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1:名無しNIPPER[saga]
2017/07/14(金) 18:01:29.10 ID:fUsa0pQY0
窓から外を見ているだけで、時間は刻々と過ぎていきます。

自宅への最寄り駅を通り過ぎてから、どのくらい経ったでしょうか。

今日は撮影だけだったので、たいして時間もかからずにお仕事が終わってしまいました。

そうなると、ボクは時間を持て余してしまいます。

ボクはアイドル。今をときめくカワイイアイドル。

誰からも愛される。世界一カワイイアイドル。

結局、環状線を一周してしまいましたね。窓の外を眺めていただけなのに、時間は刻々と過ぎ去ってくれます。


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2:名無しNIPPER[saga]
2017/07/14(金) 18:03:06.51 ID:fUsa0pQY0
さあ、帰りましょう。カワイイボクのお家へ。

駅から出て十分程も歩けば、家が見えてきます。カワイイボクにふさわしい、白くて大きなおうち。

「ただいま!ボクが帰りました!カワイイボクが帰りましたよ!」
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[saga]
2017/07/14(金) 18:06:07.02 ID:fUsa0pQY0
まるで細い糸のように。かろうじて、ギリギリ切れていないだけの繋がりだけを残して。

ボクと両親の関係は段々と希薄になっていきました。

お父さんが、仕事が忙しいのを理由に家に帰ってこなくなって、どのくらいが経ったでしょうか。ボクとお父さんの繋がりは、毎月振り込まれるお給料だけ。
以下略 AAS



4:名無しNIPPER[saga]
2017/07/14(金) 18:07:59.88 ID:fUsa0pQY0
「宿題……しなきゃですね」

どんよりと憂鬱になった気持ちを切り替えるために。と声を出したつもりが、思ったよりも暗い声が出てしまいましたね。

いけない、いけない。ボクはアイドル。誰からも愛されるアイドル。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[saga]
2017/07/14(金) 18:10:41.59 ID:fUsa0pQY0
…………わかってはいるんです。

きっと、おそらく。

両親が別れないのはボクの所為なんたと。
以下略 AAS



6:名無しNIPPER[saga]
2017/07/14(金) 18:13:08.72 ID:fUsa0pQY0
「ボク」は、とても幸せな女の子でした。

両親の愛情を目一杯に受けて育ちました。

自分に自信があって、そのせいで少しだけ挑発的で。
以下略 AAS



7:名無しNIPPER[saga]
2017/07/14(金) 18:15:28.53 ID:fUsa0pQY0
いっぱい嘘をつきました。

やったこともない水泳が得意だと、嘘をつきました。

両親に愛されている子供は、習い事を沢山して、その結果を両親に報告するのです。
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[saga]
2017/07/14(金) 18:17:07.32 ID:fUsa0pQY0
世間の目に映る「ボク」は、そうやって嘘を積み重ねていく内に、段々と人気者になっていきました。

今の「ボク」は、それなりに色々な人に愛されている。そう自惚れています。

それでも、やっぱり。
以下略 AAS



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