5:名無しNIPPER[saga]
2017/07/12(水) 01:32:16.73 ID:BSa3Ijvko
人は理性を持つ生き物だ。
ゆっくりと、彼女を起こさないように俺は起き上がる。
怒ってははいけない、荒れ狂う感情に流されてはいけない。
スマイル、笑顔です。
注意しながらイヴになぜか抱えられている腕を引き抜く。
自然、俺のパジャマの袖が彼女の口元から外れる。
イヴの唾液が自然、糸を引いて、千切れるのが見えた。見えてしまった。
……ちょっとだけ、泣きたくなった。
羽織っていた薄手の毛布をイヴに掛けてやる。
ついでに、敷布団をイヴを中心にしてくるくると巻いて簀巻にしてやる。
窓から見える朝の光が、目に眩しく確かな熱を感じる。
ぶっちゃけ、ちょっと暑い。
カーテンを開き、簀巻を日向へと蹴り転がす。
「……う゛……あ゛ぁ……」
決して年頃の娘が出しちゃいけない声を漏らし、真夏の太陽光に焼かれる簀巻サンタ。
たちまちだらしなかった顔が苦悶に歪み、口元がぱくぱくと意味もなく動く。
溜息を一つ吐き、ひとりごちる。
「……池の水面で口をぱくぱくさせてる鯉って割りと真剣に怖いのってなんでなんだろ。やっぱでかいからかな」
そんな穏やかな寝起き。
49Res/26.01 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20