16: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga ]
2017/07/10(月) 23:49:50.41 ID:kFZGYhbt0
足元に注意しながら、ビルの壁を見ると、蔦が張っているのがわかりました。かなりの時間、放置されていたのでしょう。
蔦の張っていないところから見える窓は曇りガラスでしたが、中の何かの陰が動いているのを見ると、人がいるようです。
ビルの看板は聞いたこともない会社かお店の名前だったけど、その事務所が中に入っているのでしょうか。
壁の蔦以外にも、足元には雑草──ナガミヒナゲシ──が、ビルの壁と地面のアスファルトの隙間が破けたところを中心に群がっていました。
17: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga ]
2017/07/10(月) 23:50:38.60 ID:kFZGYhbt0
と、その時。
「ビビーッ!!」
18: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga ]
2017/07/10(月) 23:51:53.64 ID:kFZGYhbt0
〜〜〜〜〜
見上げると、クモの巣の黒くなったような電線の類が、ビルとビルの間に縦横無尽に張り巡らされていて、それは電柱につながっていました。
だらんと垂れた電線は頼りなげな細いものばかりでしたけど、それを透かして見る青空は、なんだかとても不思議なもののように見えました。
細い黒の線で分割された青空。それはまるで、空色の絵の具ばかりを集めたパレットみたいに見えて。
19: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga ]
2017/07/10(月) 23:52:34.33 ID:kFZGYhbt0
〜〜〜〜〜
裏路地を一通り探索して満足した私はコンビニに入り、杏ちゃんに頼まれていた飴を探しました。
そういえば杏ちゃんって、どんな飴が好きなんだろう?
何味がいい?と聞いておくべきでしたね……
20: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga ]
2017/07/10(月) 23:53:35.41 ID:kFZGYhbt0
〜〜〜〜〜〜〜
今日、私は大通りから路地裏へのお散歩で、いろんなことを発見しました。
遠くから見たものと、近くで見るものは全く違うこと。
遠くから見ると、整っているように見えても、近づくと色々といびつなところが見えてくる。
21: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga ]
2017/07/10(月) 23:54:37.44 ID:kFZGYhbt0
〜〜〜〜〜〜
事務所に帰り着いた時には日は傾きかけていました。
「おー、あーちゃんお帰り!遅かったけどどうしたの?」
22: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga ]
2017/07/10(月) 23:55:33.25 ID:kFZGYhbt0
「元気だねぇ。だからパッションやれてるんだろうけど」
「藍子ちゃんはあの2人と居て疲れない?」
「ううん、全然。むしろ、私が振り回しちゃうこともあったりするから」
23: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga ]
2017/07/10(月) 23:56:12.69 ID:kFZGYhbt0
「あ、そだ。例のブツを頂こうか」
私は中身がいちごキャンディのぶどうキャンディを手渡しました。
「ん、ありがと。ぶどう味かー」
24: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga ]
2017/07/10(月) 23:57:13.49 ID:kFZGYhbt0
会話が途切れて、少しの静寂が私たち2人を包みます。
その沈黙を、再び杏ちゃんが破って。
「……おさんぽ、どうだった?」
25:名無しNIPPER[sage]
2017/07/10(月) 23:59:06.26 ID:XvqZGJL80
hou
26: ◆t6XRmXGL7/QM[saga]
2017/07/11(火) 00:00:37.72 ID:KJLqMmNL0
交流会作品の
高森藍子「終末旅行」
ex14.vip2ch.com
が良くてそれに反応するように書いてしまいました。
作者さん、見ていらっしゃいますか。すごく良かったですよこの作品。
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