【ミリマス】白石紬「あなたはエッチなのですか?」
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52: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2017/07/17(月) 18:59:25.54 ID:JO0yp0iM0

「うち、役に立っとるん?」

 閑古鳥が鳴くような店の中、そう疑問をこぼすのも無理からぬこと。

 初めは小さな償いだった「看板娘」としての手伝いも今では進んでやっている紬だが、
 だからこそ見えて来るモノというのがある。

 それは親の努力であるだとか、業界の不景気であるだとか。

 美しい仕上げの着物一枚に込められた、多くの人の夢と苦労というものに、
 幾多触れて来たからこそ出る言葉だった。

 "仕事"である、"家業"であるという以前に、着物が好きであるという事実。
 ひいてはこんな自分にも、何かできることはないだろうか? 

 ……ここ最近はそんなことばかりを考えてしまう紬である。

「……掃除でもしよ」

 とはいえ、考えることと解決策を見つけることは別物だ。

 果報は寝て待てなんて言葉もあるが、少なくとも余りの暇さに
 昼寝をしているような娘の前に、碌な果報はやって来まい。

 そう思っていた、そのハズだった。

「すみませーん」

 あの日、父が不在の間を突いて。
 貸衣装用の着物を返しに男がやって来るまでは。


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