女「どうせ若い女が好きなんでしょ!?」男「」〜私と僕と欲張りショートケーキ2〜
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5: ◆2oYpLZIXqc[saga]
2017/07/07(金) 22:36:22.58 ID:lNDv3THP0
3章
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「……ただいま」

僕は彼と別れたあと、独りでそのまま自宅に帰って来ていた。

僕の部屋は、いつも以上に整えてある。

予定では昼時まで散歩し、約束の店で食事して、この部屋の模様替えを手伝ってもらう予定だった。

だというのに、散歩だけして終了とはね。

僕はクローゼットを開けた。

乱雑に積み上げられた衣類の上に鎮座する物体を取り出す。

物体の正体は大型犬ほどの大きさがあるクマのぬいぐるみだ。

それを抱えたまま、ベットに転がり込む。ふて寝だ。

この子の本来の定位置はここなのだ。彼が来たとき、引かれないためにしまっておいた。

女(お腹が空いた)

女「……」

女(ショートケーキのイチゴを、横から掠め取られた気分だ)

もちろん彼は悪くない。あの状況で僕を優先するようなら、それこそ軽蔑する。

けれども今の気分と、それは別問題だった。

ぬいぐるみの頭に、僕のアゴをのせながら部屋の隅を眺める。

そこには、姿見の鏡があった。自然と昨日のことが思い出される。

出かける服装はどんなものが良いか、鏡では見えない所まで、鏡の前で散々悩んだ。

クローゼットの衣類はその成れの果てだ。

彼に話そうとした話題も今更ながら思い出す。

『料理は愛情』という言葉がある。愛情があれば、適当に作ってもどんな料理もおいしくなる。

そんな意味ではないだろう。大切な相手に食べさせるならば、慎重に料理したり、時間のかかる手間をいとわない。

だからこそおいしくなるのだろう。

僕が昨日、服装について悩んだのも、つまるところ、そういうことなのだ。

どうでもいい相手と会うのに、服装なんて悩まないのだ。だというのに。

女(料理のことを考えたら、余計にお腹がすいた)

女(でも動きたくない)

女(もう何もしたくない)

僕はいつものこの子を抱えて、ついで空腹も抱えながら眠りの中に落ちていった。

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