5:名無しNIPPER[saga]
2017/07/01(土) 13:53:59.25 ID:hQxqBFn90
ジャン 「よお。久しぶりだな」
何十日かぶりにやってきた男の人はずっと年上で、頑強な見た目をしている。
しわの刻まれた瞼の奥の瞳には、とても優しそうな光があった。
「うん……久しぶりだよ。人が来たのは」
ジャン 「俺が言ったのは違う意味なんだがな。まあいい」
ジャン 「まだ間に合うか。俺のランタンは」
カンカンカン…
案内する間、彼は緑色のマントから小箱を取り出して、中にある白い欠片を撫でていた。
ジャン 「ああ、あった。あった。あのランタンだ」
その人が指さしたのは、最後に1つだけ残っていた、ひときわ高い所にあるランタンだった。
ジャン 「これで大丈夫だ。やっとあるべき所へ行ける。…よかった」
「……」
ジャン 「さて、面倒ついでに悪いんだが……ちょっと、湯を貸してくれねえか。
顔を洗いてえんだ」
「もちろん、いいよ。こっちに来て」ガチャッ
ジャン 「ありがとう。……やっぱりお前は優しいな」
ジューッ、トントントン
「……」チラッ
キッチンで食事の支度をするあいだ、彼は石鹸を泡立てて、無精ひげを剃っていた。
きれいになった顔は、いくつも若返って見える。刈り上げた栗毛に、見覚えがある気がした。
「はい。そんなに大したものはないけれど」コトッ
ジャン 「いや…お前が作ったものなら、なんでも旨いだろ」
これはサシャの味だな、と。パンをかじった彼は笑った。
楽しい食事が終わると、見送りに出た私からランタンを受けとる。
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