2:名無しNIPPER[saga]
2017/07/01(土) 13:52:16.95 ID:hQxqBFn90
昔、私は黒髪にそばかすの少年で。白い漆喰づくりの灯台で
たくさんのランタンを磨いて番をする、灯台守だったの。
「……」
ザザー……ン
いつから、どうしてそこにいるのかは分からない。
崖の上で、たった1人――。
(本日も、レンズには異常なし。階段も、どこも崩れていない)カンカンカン…
らせん階段に沿った壁には、いくつものランタンがきれいに並べられていた。
誰が、どうやって作っているのかは知らないけれど。
ガチャッ
「……あ、人だ」
ランタンはみんな、行先の分からなくて彷徨う誰かのための『道しるべ』だったの。
だから時々……崖の向こうの荒野から、ランタンを求める人がやってきた。
サシャ 「あのですね、これは私の焼いたライ麦のパンです!お土産にあげます」
「わあ……美味しそうだね」
サシャ 「でも、私のパンは塩と酵母の加減にコツがあるんですよ。焼くとき困らないように、レシピもあげますね」
「ありがとう」
サシャ 「ところで、私のランタンはどこですか?」
「ああ、こっちだよ」
ギィッ…
カツーン、カツーン…
「Sasha.Blouse……これだね」ガチャッ
サシャ 「わあ、ありがとうございます!これでやっと辿り着けます!」バイバーイ
ランタンを受けとった人は、灯台のある崖の下から小舟に乗って海へ出て行く。
そして二度と還ってくることはない。
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