【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」完結編
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24: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/07/07(金) 21:11:13.51 ID:XFMgPNzd0
「いっこ紹介するね?『唯さん、ゲストのみなさん、こんにちは。先日、ゲストのみなさんをライブで初めて見ました。あの日以来、みなさんのうちの誰かが出る番組が気になってしまい、できるだけみるようにしています。今日の放送も、楽しく聞かせてもらってます。みなさん、がんばってください!』だってさ! ほら、ほかにもたーくさんだよ!」

 言って、唯はプリントアウトされたメッセージを茜に渡す。
 茜に渡された紙を、ほかの四人は両側から覗き込むように見る。

「私たちのこと、見てくれているひと、居たんですね。……うれしい」

 ほたるがそっと目を伏せた。比奈がその髪を優しく撫ぜる。

「ちょっと、アイドルやってるって、実感してきたっス。おもったより、嬉しいもんっスね」

 真剣な表情でメッセージを読み耽る五人だったが、ふと裕美が四人から離れて、俺のところに歩いてくる。

「プロデューサーさん」裕美はぺこりと頭を下げる。「ありがとう。さっき、ラジオが流れてるとき、背中、押してくれたよね。声は聞こえなかったけど……そんな気がしたの」

「そうか? 応援は確かにしてた。けど俺は何もしなかったぞ。裕美が自分の力でたどり着いたんだよ」

「ううん」裕美は首を横に振る。「私一人じゃない。みんなが居てくれたから……茜ちゃん、比奈さん、春菜ちゃん、ほたるちゃん……それに唯さんと、プロデューサーさん、スタッフさん。たくさん助けてもらってるよ」

 裕美はいまだメッセージを読み耽る四人のほうを見る。

「私、ギャラリーの人に笑われてるんじゃないかって、怖かった。でも、あとで写真とったとき、みんな素敵な笑顔をしてた。私が勘違いしてただけ。私が私に自信を持てないだけだったんだ。いまは、ぜんぜん違って見える。前を向くだけで、こんなに世界って、きらきらして見えるようになるんだね」

「そうだな」

「応援してくれてる人達もいるってわかった。たくさんの人に笑顔をもらったから、今度は私が、誰かに笑顔をあげられるようになりたい。きっと、それでいいんだよね」

「ああ……十分だ。そういえば」俺は一つ残った疑問を尋ねてみることにする。「さっき、ブースの中で、比奈は裕美の手になんて書いてたんだ?」

「さっき?」裕美は一瞬考え、ああ、と思い出したように言って、俺に掌を見せる。「『No.1アイドル』だって。偉そうにするほとじゃないけど、自分がナンバーワンって自信を持つくらいでちょうどいいって、励ましてもらったの。……私、このユニットに参加できてよかった。これからも、頑張るからね」

 裕美はそう言って、四人のところに戻っていった。
 その後ろ姿に、迷いや恐れはもう、見えない。


 第八話『それが答えだ!』
・・・END



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