【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」完結編
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◆Z5wk4/jklI
[saga]
2017/06/30(金) 23:37:48.29 ID:DzD82Pjh0
俺は安部菜々の自宅を訪れていた。
朝一番に片桐早苗を担当している同僚プロデューサーから連絡が入っていた。
早苗が菜々の家で深酒をしており、荒木比奈も同席している宴会のようだから、様子を見てきてくれとのことだ。
自分で行けと突っぱねたのだが、今日の俺の仕事のルートが菜々の自宅と近いことまで把握されており、別のプロデューサーに心配されたとなれば、早苗も多少は行動を改めるだろうという思惑があるらしい。
結局、後日の何らかの見返りを約束させて、俺は承諾した。
菜々の部屋のベルを鳴らすと、ドアスコープの向こうの光が消え、それからチェーンロックが開かれる音がした。
玄関のドアが開いて、比奈があくび混じりに顔を出す。
「ふ、あぁ……おはようっス、プロデューサー。どうしたっスか? わざわざこんなところまで」
「仕事の途中だよ。片桐早苗の担当プロデューサーに様子を見てきてくれと言われたんだ。みんなは?」
「まだ寝てるっス」
比奈は部屋の奥をちらりと見る。
俺は自分の時計を見た。朝の九時半。
まだ寝ているということは、昨夜は相当遅くまで盛り上がっていたということか。
「入っても大丈夫か?」
「大丈夫だと思うッスけど、すごい状態っスよ」
俺は比奈のあとに続いて部屋にあがる。
たしかに、すごい状態だった。
部屋の隅に大量の缶ビールの空き缶、中央のちゃぶ台には片付けられていないままのプラカップとツマミの袋、ちゃぶ台を囲うように眠っているアイドルたち。
高垣楓に至っては日本酒の瓶を胸に抱いて幸せそうに寝息を立てている。
およそアイドルが見せていい画ではない。
その光景を目にした俺の口から出た感想は、五感に忠実に従ったものだった。
「……酒くさいな」
「ふふ、青春の匂いっすよ」
そう言って笑う比奈。
俺はその表情に違和感を覚えた。
「なにかあったのか? すっきりした顔してるぞ」
「そうっスか?」
比奈は俺のほうを見る。それから、にっと笑って言った。
「修業回が終わったんスよ、きっと」
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