30:名無しNIPPER[saga]
2017/06/28(水) 23:42:07.19 ID:JyFNE0ozO
おばさんが白い歯を見せて微笑んだ。
「可笑しいでしょ。今と全然変わらないの」
「ほんと」
私も顔を見合わせて笑った。
曜ちゃんが大事な事をはぐらかしちゃうのって、もしかして。
ううん、それはちょっと思い上がりかな。
「二人ともこの位が一番可愛かったわ〜」
「それって、今は?」
「……ふふ」
意味深な笑い。
あえてスルーした。
不気味だ。
「あ、これはね、小学校2年生の時」
紙を重ねて、折り目を伸ばす。
「この頃には、高飛び込みに興味持っちゃって、千歌ちゃんにも付き合わせちゃったわよね」
「千歌は、曜ちゃん見てるだけで楽しかったし、そんな」
楽しそうに、何かに打ち込む曜ちゃんを見て、私も何かしたいって思ったんだ。
その何かを見つけるのは、本当に難しかった。
ソフトボールは一応してたけど、胸を張って終われたわけじゃなかったから。
誰も続けなさいとか言わなかったし、止めなさいとも言わなかった。
ある程度上手くなった時に、途端に電池が切れたようにモチベーションが下がった。
どうしてか。ただ、曜ちゃんの真似をしただけだったから。
周りの子達がやるって言ってたから、面白そうだから。
やりたかったんじゃないんだ。
曜ちゃんに追いつきたかったんだよ。
「千歌ちゃん?」
「あ、えっと」
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