29:名無しNIPPER[saga]
2017/06/28(水) 23:08:26.08 ID:JyFNE0ozO
3月5日(2歳11ヶ月)――。
ボールペンで、一文字一文字丁寧に書いてあった。
『曜は、船が好きだ。今日は私の母を歯医者に連れて行かなければならなかったので、
留守番の為、「七つの海」というアニメのビデオを借りてきた。これを見ているうちは、
曜は絶対に家から出ない。しかも、パパが主題歌を全部歌えるのが悔しいのか、
アニメを見ながら必死に歌を歌う。大きな声で歌う。なかなか力強い声をしている。
「曜は、歌が上手いね」と言ってやると、ますます声を張り上げて歌う。面白い子。
なんにでも一生懸命な子に育ってほしい』
4月3日(2歳11ヶ月)――。
もうすぐ3歳と走り書きがしてある。
『お風呂に入る時、昨日ケガした足を指さして、「おフロ入ったら、痛いの。すごく痛いの」と言うので、
「痛くない魔法かけてあげる。1、2、3、はい」と指を振ってやると、「痛くない」と言って、
お風呂の中に足をつける。顔を見ると本当は痛がっているのが分かった。「大丈夫?」と聞くと、「大丈夫」と返す。
お風呂からは逃げないけど、泣いている。目をつむって痛いのをこらえている。
「もういいのよ。痛いんでしょ?」と声をかけてやると、首を振ってそれきり黙っていた。
誰に似たのか分からないけれど、我慢しすぎない子になって欲しい』
4月17日(3歳)――。
おめでとう、曜ちゃん。
この一文だけ赤色で書かれてあった。
『誕生日は千歌ちゃんも来てくれた。曜は千歌ちゃんの前では恰好をつけたがる。男の子みたい。
千歌ちゃんが褒めると、すぐに天狗になって、はしゃぎまわる。単純な子。
曜の誕生日だったのだけれど、私がうっかりみかんの大粒が入ったケーキを千歌ちゃんのお皿に乗せてしまった。
すぐに気づいたけれど、千歌ちゃんが嬉しそうにしていて、言い難かった。曜は恐らく気づいていたのだけど、
曜も千歌ちゃんの嬉しそうな顔を見て、満足そうにしていた。パパに似たのかしら』
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